第38話

零は直斗の寝顔を見つめていた。いつもとは逆に今は零が直斗を胸に抱いている。

あの後直斗は約束通り零の声が出なくなるまで何度も抱いてくれた。今まで考えられないくらいイカされ、今思えば恥ずかしくなる程声を上げて何度も直斗の名前を呼んだ………。

初めて……愛情を確かめながらセックスをした。


「愛してる……大好きだよ……」


零は寝息を立てる直斗にそっとキスをした。




朝からずっとカタカタと零のパソコンが音をたてている。実習が終わりレポートを仕上げなければならないからだ。


しかし———零は小さくため息をついた……。


「直斗くん……少し離れてくれると助かるんだけど………」


直斗が起きてからずっと零にくっついているのだ。


「いいじゃん……。別に………パソコンは使えてるだろ……?それと………『くん』な」


ソファーと零の間に無理やり入り込み、ずっと後ろから抱きついている直斗に振り返ってから、零は机に肘をつき、またため息をつく……。


———直斗くんがこんなに甘えん坊だって思わなかった………呼び方だって……そんな簡単に変えられないよ……。


昨夜何度も「直斗」と呼んでから『直斗くん』禁止令が敷かれていた。


「そんな嫌そうにするなよ……」


直斗は不貞腐れた様に言いながら零の首にキスをする。


「嫌じゃないよ。嫌じゃないけどさ………」


———時と場合によるでしょ………。


直斗が零の項に舌を這わせ、首筋に噛み付いた。


「────ん…………」


声を漏らすと、すかさず零のTシャツの中に手を入れ指で乳首を弄ぶ。


「ちょ……っと…………」


零が慌てて直斗の手を止めようとすると背中からスルッとTシャツを脱がされ


「直斗くん!ちょっと……待ってよ……」


昨夜の記憶が蘇り身体が熱くなるのが分かって余計慌てる。


「零……『く・ん』!」


直斗がそう言いながら零の背中にキスをしてそれを少しづつ移していく……そして肩に少し強めに歯を立てると


「───あっ……ンん…………」


艶っぽい声を上げ身体がビクッと波打つ様に震えた……。


直斗はそれに嬉しくなりまた背中にキスをする。


「直斗くん!」


零が真っ赤な顔で振り向き睨みつけると、


「また『くん』て言った」


そう言ってニっと笑うと零の部屋着のズボンの中に手を滑り込ませた。


「ちょっと!!」


「『くん』て、付けるのやめたら…俺もやめる」


直斗がニヤニヤしながら零のそれに指を絡める。

本気で焦る零を反対の手で抱きしめ動けない様にして反応しているそれを指で弄ぶ……。


「直斗!」


真っ赤な顔をして名前を呼んだ零の頬にキスをすると……また首筋に軽く噛み付き、顕著に反応していく零を一層激しく弄んだ。

必死で声を殺す背中に何度か軽く歯を立てると、いとも容易く声が漏れ、零が今度は潤んだ瞳で睨みつける。


「俺…零とソファーに挟まれて動けないんだけど」


直斗が嬉しそうに笑う。


「………………自分がそんなとこ入るからでしょ……」


零が余計にキツい目で睨みつける。しかしその瞳は確実にその色を濃くして潤んでいる。


「零?」


直斗が首を傾げにっこりと笑って潤んだ瞳を見つめる。


「────ん———!……もうっ!…嘘つき!」


零は面白くなさそうに、もう一睨みしてから身体を反転させ直斗にキスをした。

二人の熱い舌が絡み、その音が部屋に響いている。直斗は零を弄んでいた指を滑らせ奥の柔らかい窪みを見つけるとゆっくりと中へと忍び込ませた………。


「……んっ…………」


零が直斗の背中へ爪を立て軽く体を仰け反らせる………。


────そして…………

無粋なインターホンがその妖艶な空気を打ち消した。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る