第14話 インターバル

DWOがサービスを開始してから3日が経過した。

初日からの盛り上がりは現在も続いており、それに伴い新規プレイヤーも増え続けている。


アバターの問題はあるが、寧ろ変わらない自分のアバターだからこそ、DWOの現実ではあり得ない世界に居るかのように感じる圧倒的没入感と完成度の高さを体験出来る、と逆に話題になっている。


プレイヤー層も、寝る間も惜しんでプレイしている層、友達などのグループでゆっくり楽しんでいる層、戦闘はあまりせず観光のようにダンジョンを巡ったり《マイルーム》での建築を楽しむ層など徐々に分かれてきている。


どの層でも満足度が高く不満の声がない、順調な滑り出しである。

大河の懸念していた意識の誘導については、サーボの言ったとおり何故か話題にすらならなかった。




DWOには専用の情報掲示板がデバイスに組み込まれており、プレイヤーはログイン中でも確認や書き込みをすることが出来る。

3日目ともなると様々な情報がプレイヤーから書き込まれおり、それを編集した専用サイトなども出てきている。


《ゲートキーパー》の攻略方法や《マイルーム》での家自慢などが人気だが、中でも一番注目されているのがAIについてだ。


当初からDWOはシステム運用をAIに任せるとは宣言していたが、それは裏方的な部分を担当しているという意味で、多くのプレイヤーは自分たちと接する部分ではないと考えていた。


しかし掲示板でサポートAIについて話題になった時、あるプレイヤーがサポートAIが塩対応で困る、というような書き込みをして、それがきっかけでプレイヤー間でサポートAIの反応が違っていることがわかった。

別々のプレイヤーが同じ質問をしても、返ってくる内容や反応がプレイヤーで違うなど通常のAIの反応では考えられないことが起こった。


そこから《ゲートキーパー》の反応に違和感を持っていたプレイヤーがモンスターのAIもちょっとおかしくないか?と発言し、興味をもった物好き達がAIについてデバックじみた検証を開始した。


検証が進むにつれて、DWO内のAIにはそれぞれ個性みたいなものがある、またAIはプレイヤーの反応を読み取り、その内容でプレイヤーに対する行動を決定しているのではないかという流れになってきた。


サポートAIはプレイヤーのそれまでの発言や行動で、プレイヤーに対する反応が変わり、モンスターAIは似たような状況、攻撃に対して個体によって反応が違ったり、好戦的なAIや弱腰のAIみたいなものが確認されている。


それらの検証が正しいかはわからないが、DWOはAIも従来とは全く違う完成度だと話題になっており、現在掲示板ではサポートAIの好感度をあげるためにはどうすればいいのか?で盛り上がっている。



始まってまだ3日目だが、プレイヤー達はそれぞれの遊び方を見つけ始め、そこでまたDWOの世界の深さを知っていくことになる。


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