会いに行く
「淫乱BOYSって何だ?」
「俺が、先輩としていたグループLimeだよ。ここ、見て」
「いちが、特定を作ってる気がするんだ。許さない。いちは、抜けさせない。」
読み上げた由紀斗に、微笑んだ。
「さっき、由紀斗が言ってきた答えだろ?大きな話だと、戦争に繋がるって。まあ、小さな話だといじめってやつかな。俺達は、誰かを踏みつけて生きる事を植えつけられて生きてきたんじゃないかな?」
俺は、あの日先輩から送られてきた動画を再生する。
「これは…。千尋じゃないよ」
「由紀斗、俺だよ。俺もまた誰かを制圧していたんだよ。」
早坂を何度も壁に叩きつけ、けつにぶっ込んでる俺の動画だ。
狂ったように笑い、狂ったように殴りつけ、もっと泣いて喜べと笑っている。
早坂は、お漏らしをし血を吐く。
それなのに、やめない俺。
「やめろ」
最後まで見ずに、由紀斗は動画をとめた。
「これからだったんじゃない?」
「千尋、自分を傷つけるなよ。こんなの何回も見てるとおかしくなる。」
その言葉に、涙が流れてくる。
「早坂に、今から会いに行くんだ。」
「探偵さんか?」
「ああ、やりとりはさっきの電話。住所も送ってくれた。依頼は、終了した。」
「探偵さんに会わずに終わったのか?」
「人探しだから、もう来たくないって頼んだからさ。書類は、一式送ってくれるって。俺も、ネットから入金しといたよ」
立ち上がった俺の腕を由紀斗が掴んだ。
「俺も行く」
「何で?」
「どんな話を聞いても、千尋の傍にいたいから」
そう言って、コーヒーカップを下げにいった。
俺と由紀斗は、着替えて用意した。
家を出て、由紀斗の車に乗り込んだ。
走ってたどり着いたのは、とある公園だった。
【お昼まで、早坂さんはだいたい公園にいます。】
「駐車場に車を停めてくる。」
「ああ、早坂に話しかけてくるよ」
由紀斗の車から降りて、早坂の元へ行った。
「早坂……」
俺を見る目が、怯えていた。
「市木」
車椅子に乗っていた。
「ごめん、俺が早坂をこんな体にした。なのに、何も覚えていない。」
早坂は、俺を見て笑いだした。
「市木が、これをしたって?何、言ってるの?ハハハ」
「証拠だってあるよ」
俺は、スマホの動画を早坂に渡した。
早坂は、それを再生した。
顔が強ばって、途中でとめた。
「ごめん、途中までしか見れない。」
「やっぱり、俺が早坂にしたんだよな?」
「違う」
早坂は、大きな声を出した。
由紀斗が、近づいてきた。
「彼氏?」
「あ、ああ。」
「俺もいるんだよ。」
「幸せなんだな」
「幸せだよ。すごく」
そう言って、柔らかい笑顔で笑った。
「さっきの動画だけど」
「ああ」
「あれは、市木以外の人達だから…。」
「でも、俺はこんな剥き出しな顔して早坂に」
早坂は、ニコッと俺に笑った。
「そうだよ。彼氏の前で言ってもいいのかな?昔の話だからいいよね。」
そう言って笑う早坂に、由紀斗は「かまわない」と言った。
「じゃあ、遠慮なく話すよ。これは、市木が必死で俺を抱いてくれた顔だよ。こんな風に合成させられてるけど…。市木は、あいつ等がいるのも忘れて、酔っぱらって俺を求めたんだよ」
「えっ?」
「覚えてないのは、当たり前だよ。市木は、酔っぱらってたから…。若さだよね。何度も俺を抱いたよ。幸せだったよ。俺は…。市木に抱かれて」
「早坂…。」
「初めて、市木を見た時から好きになった。だから、いつかそうなれたらって思った。市木は、優しいセックスをしたんだよ。俺は、物足りなくて激しくしてと言った。それが、さっきの顔。一生懸命してくれたよ。何度も、何度も…。それをあいつ等は、許さなかった。」
「辰己先輩達か」
「うん。あの時、俺。初めてだった。初物は、先輩がいただくルールだったんだろ?でも、俺は初めては市木って決めてたから…。誘惑したんだ。俺から市木を…」
そう言って、早坂は泣いている。
手が震えてるのが、わかる。
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