愛してる。由紀斗&千尋

三愛紫月

あれから、一週間

辰巳たつおみ先輩に、もう辞めるとメッセージを送って…。


三日目に、会社に動画が送られてきて


俺は、クビになった。


由紀斗さんも、会社を辞めた。


「あの、突然ごめんね。」


由紀斗さんは、元奥さん(今も戸籍上は、奥さん)を家に呼んでいた。


「どうしたの?」


奥さんは、一週間前に井田真白いだましろさんの家に引っ越していた。


「市木が、動画を会社にばらまかれてクビになったんだ。俺も、会社を退職した。それで、今この家に暮らしている。もしも、井田さんと梨寿りじゅが、嫌でなければ一緒に暮らすなんて無理なお願いかな?」


奥さんは、悩んでるが…。


井田さんは、とても嫌そうだ。


真白ましろ、どうする?」


「梨寿が、そうしたいなら、いいよ」


少し怒りながら、そう言った。


「私は、由紀斗が困ってるなら協力してあげたい…。でも、この家売らないの?」


「千尋が、売る必要はないって言うんだ。梨寿との思い出も含めて俺だからって…。」



「そうなんだね。真白、いいかな?」


「梨寿が、そうしたいなら構わないよ」


「じゃあ、一緒に暮らそうか」


そう言ってもらえた。


由紀斗さんは、少し嬉しそうで、井田さんは、俺に敵意を向き出しだった。


「じゃあ、帰ろうか」


「引っ越しは、いつする?」


「明日から、二連休だから、その間に来ようか?」


「そうだね。」


「梨寿の足を考えたら、梨寿、一階がいいよね?和室にする?」


「大丈夫だよ。二階でも」


「それなら、いいけど…。」


井田さんと奥さんは、帰っていった。


「よかったね、由紀斗さん。」


「ごめん、千尋は嫌だったよね」


「嫌でも、この家を維持する為には仕方ないよ」


「家賃が、高すぎるよな…。早く、就職先探すよ」


「俺も、探すよ。」


「でも、一部屋開けてでも隣に二人がいるのはキツかったかな」


「確かに、そうだね。由紀斗さんの可愛い声、聞かれちゃうかもね」


「馬鹿な事、言うなよ」


由紀斗さんは、照れながらコーヒーをいれにいく。


二階の3部屋か…。


真ん中の部屋は、6畳で、残りが7畳の二部屋だ。


「6畳の部屋に、四人の荷物を分けておくべきだよね。」


「二人の子供が使う部屋だったんだよね。二階の部屋は…。」


「そんなの気にする必要ないだろ。」


由紀斗さんは、コーヒーをいれておいてくれた。


「二人の人生のお家が、シェアハウスになっていいのかな?」


「何で、千尋が泣いてるんだよ」


「梨寿さんの顔見たらね。ほら、あの時は少しだけだったから会ったの…。何か、二人の家をよごしてく気がしてきて」


「そんなの思ってないよ。俺も梨寿も、気にしすぎだよ」


由紀斗さんは、抱き締めてくれる。


「だから、ここで俺を抱かないんだな。」


「当たり前だよ。」


「梨寿が、そうするなら俺達も出来るな」


「変態」


「千尋、その目なんだよ」


由紀斗さんが、頭を撫でてくれる。


「明日、ホテル行こうね。」


俺は、キスをした。


「節約しなきゃいけないのにね」


「二人が住んでいた家をよごせないよ」


「気にしなくていいよ」


由紀斗さんに抱き締められると安心する。


震える夜を、一人で過ごさないでいい事が嬉しかった。


「由紀斗さん、俺、早坂を探します。」


「聞くのか?あの日、何があったか…。」


「はい、あの動画が本物だとしたら謝らないといけない。きちんと、謝罪もしていないんです。」


「見つかったら、俺も一緒に会いに行くよ」


「本当ですか?」


「ああ、千尋の傍にいたいから」


「ありがとう」


俺は、由紀斗さんが大好きだ。


やっぱり、一緒にいる事を選んでよかったと心から思った。


「千尋、先にお風呂入っておいでよ。」


「うん、今日は、何頼むの?」


「ピザか、寿司か、ファミレスか…。どれがいい?」


「お寿司がいいかな?」


「じゃあ、頼んでおくよ」


「これとこれとこれは、頼んでてね」


「わかった」


俺は、お風呂に入っていった。


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