第29話 決着

シン「どうなってやがる........っ」ギリッ


シンにとっては予想外の出来事だった、それもそのはず先程の攻撃でルークは立ち上がることさえ出来ない程の重傷を負っていた

だからこそシンは確信を得ていたのだ


なのにルークは立ち上がり、シンの目の前にいる


シン「ありえねぇ..........!!!」


シン「死にかけの屑になんでそんな力が!?」


ルーク「わからないか?」


シン「何?」


ルークは目を細め、威圧するように見る


ルーク「俺は曲芸師、奇跡を起こし、皆を笑顔にするのが俺の仕事だ..........お前にも笑顔をにし、そして勝つ」


シン「.........ぷ.....あははは!!!!何を言う出すかと思えば!屑の自慢話かよwそれになんだ?俺様を笑顔にwwwwwくはははは!!」


ルークの突然の言葉にシンは耐えきれず笑ってしまう


しかしルークは怒ることも挑発することもせず、ただただ見ていた


ルーク「ほら.......もう笑顔にしたぞ?」


シン「ははははははははは.........は?」


シンは"笑顔"になりながら笑っていた

ルークはその驚愕した顔を見ながらにやけて

挑発する


ルーク「本当にお前は扱いやすいな、このマヌケ」


ルーク「お前のような人間がいるから、世界は腐っていくんだ、だからこそ俺が勝つ」


シン「ハッ?お前が勝つ?ふざけるな!」


シン「この世界は俺様の物だ!!お前のような屑に渡すもんか!」


ルークはその言葉に強く反論した


ルーク「この世界は人間の.......ましてやお前よ世界じゃない!皆んなの世界だ!!」


シン「ほざけぇぇぇぇぇぇぇ!!」


ゴッ!


ものすごい速さでルークに接近し、右足を曲げ、左足を伸ばし蹴りを入れようとする...........


キィィィィィィィィ.................


しかし突如光始め、一瞬だが、見えなくなる


そして見えるようになった次の瞬間


ルークはシンの攻撃を躱しながら、右手でシンの顔を殴った


その反動で双方が後方に飛び、着地した瞬間に


ドォォォォォォォォォン!!!!!

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ


最早人間の目視では見る事が不可能な程

2人の攻撃は激しさを増した


キィィィィィィィィ.........................


ルークは右手でエネルギー弾を作り

シンが反撃又は回避する前に攻撃する


ドォォォォォォォォォン!!!!!


コロシアムの壁に激突し、壁に亀裂が走る


シン「クソガァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


バギンッ!!!!


コロシアムの壁を破壊しながらルークを睨みつけ、光のオーラを更に大きくする


シン「俺様は!勇者だ!ヒーローだ!こんな屑に負けていいはずがない!こんなことあり得ない!!!絶対にありえない!!」


そのオーラが光線となってルークを襲う

ルークはそれを必要最低限体を動かして全てを避ける


ルーク(お前が、皆が認める真の勇者なら、俺はお前に勝てていない、だが、人々を苦しめ、憎しみを増幅させたお前が、その力で戦っている俺に勝てるはずがない)


それにと付け加え、ルークは笑いながら思う


ルーク(俺のこの力は、お前の悪意も含まれている、今も絶賛.......な?)


一人一人の悪意の力はそれ程ではない、しかし塵も積もれば山となると言うことわざのように、その悪意が1万、10万人と増えていけばその力は絶大なものになる


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ルークは今度はさらにでかい白いエネルギー弾を作り、シンに攻撃する


ドォォォォォォォォォン!!!!!!!!!


シン「クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソが!!!!!!!!!!!!!」


圧倒的な強者の筈の自分が、大したこともない職業の男に

自分の女(妄想)を奪った屑に


圧倒され、翻弄され、見下され、追い詰められている


その悪意が憎しみがどんどんと積もり

知らず知らずのうちにルークの力となる


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


両者が一進一退の攻防を繰り広げ、一種の隙も見逃さない、まさに最終決戦にふさわしい戦いとなった


国民達は息を呑み

国王達は冷や汗をかき

魔族達は驚愕し

魔王は笑みを浮かべ

そして彼女達は

己の愛する人の勝利を願い


人類史、魔族史、双方の歴史に名を残す

壮絶な戦いとして

後世に語り継がれる、大激戦となる


そして今、その戦いは決着を迎えようとする


シン「勇者である俺様の最強の力でお前を殺す!!」


シン「ガァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」


シンがそう叫ぶと同時に力を溜め

右手に光の剣を作る


ルーク「お前のような屑が!勇者の名を名乗るなあ!!!」


そう言うと、ルークは密かに作っておいた陣を発動させる


シン「なに!?」


その中に入ってしまったシンは突如光の剣を失い、苦しみ始める


シン「屑野郎!テメーなにしやがった!!」


ルーク「決まってるだろ、お前のような奴に勇者の資格なんてない」


だから..........


ルーク「俺のこの力で貴様の勇者の力を完全に奪う」


シン「なに.......?」


シンは冷や汗をかきながら、この状況を焦る


ルーク「もう既に陣は完成している、後は俺の力で全てを終わらせるだけだ!」


シン「やめろ!そんなことをしたら!誰が魔王を倒すんだ!!」


シンはルークが本気でやることを知り、命乞いをする


しかし、ルークは止めようとせず右手をシンにかざす


ルーク「魔王は倒さない、誰も死なせない、それが俺の答えだ」


そして次第に魔法陣が強く光り始め、シンはそこから逃げようとする.........が


シン「ウグッ!?」


魔法陣に入った時から力を奪われ始めており、体もボロボロの状態の為、動こうにも動けず、苦しみに悶える


ルーク「終わりだ」


シン「待て!わかった!俺様の負けだ!なんでもする!だから.........だからぁ!!!殺さないでくれ!」


シンは必死に命乞いをする

泣きじゃくりながら、嗚咽し、下からは臭い匂いもする


シン「いやだぁ!しにたくない!しにたぁくぅなぁい!!いやダァイヤダァいぃやぁだぁ!!!!!!!!!」


ルーク「そう言って助けた事があるか?」


シン「うぇ?」


ルーク「...........................消えろ」


その一言と同時に魔法陣が白い一筋の光となりシンの体を襲う


シン「ぁぁぁダァぁガァあいヤァぁぉあーだずげでぇぇ!、じにだぐなぁぁぁ!!いい!!ァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」


何処までも自己中な人間で、最後の最後の最後まで、自分の殺した人たちのことを謝ろうともせず、自分の事だけ考えていた


そんな姿を見てルークは言った


ルーク「大丈夫だぞ?シン?まだ死なせないから.......................................」



ルーク「まだ.....な?」


——————————————————————


続く

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