不安だ詩
昼間に家にいると、高揚感と罪悪感でグラグラする。白むほど照り付けられた家々が見える。窓を開けると、撫でるような風とどこかから工事の音が入ってくる。鉄と鉄がぶつかるような、かん高い不協和音が飛散する。工事において、基盤の部分が一番重要で、時間をかけるらしい。人間の場合の子供時代だろうか。いろんな言葉を与えられることで、自分を固定していって、揺らぐことのない基盤をつくる。その上に何を建てても、バランスを保ちながら立ち続けられるように。崩れたらまた建てればいい、なんてのは自分を飾り立てるフレーズだ。
大数字魔法時代。数字の魔力をうまく操れる人が勝つ時代。自分の作った林檎を数えるためでしかなかった数字が、体幹のない人間を朝顔みたいに支える柱になった。支柱の多さが不安定ではない証拠で、幾本もの支柱に巻き付いた者同士が、依存を支えると勘違いして、腕を絡ませながら歩く。泥塗れの自分の手の中にある、折れた支柱を見るたびに、虚飾な滑稽さに憧れる。喉から臍にかけて引き裂かれて、肋骨が怪物みたいにぐちゃァッと大口を開けて、体内に取り込みたいくらい欲しくなる。命懸けで食べた霞は、七色の幻想的な美しさなんだけど、きっと幻覚で、食べた時には命が無くなっている。これが私が騙る理由。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます