第27話 Time Spinner Ⅲ
「まぁ、そんなに沢山持ってっても、当たらなきゃ意味がねぇし、仕様的に連発は出来ねぇんだから、数よりは腕だろ。腕」
「で、どこに置いたっけかなぁ?ちょっくら探してくっから、本当に
「えっ?じゃあ、うん、大人しくしてるねッ!」
ドクは自分の腕をピシピシと2回程叩きながら、また奥へと引っ込んでいった。
少女はドクが出てくるまでの間、まるで尻尾を振りながら飼い主のコトをお座りして待っている犬のようだった。
「ほらよッ!見付けてきてやったよ。LAM3本だ」
「ん?何だその手は?」
「ちゃんと良い子にして待ってたんだから、ちょーだい!」
「ほらよッ」
「ずしっと重たい……。ってこれはLAMでしょ!これは貰ってくけど、そーじゃなくて、そっちの
「あぁん?やるなんて言ったか?」
「言ってたわよッ!」
「ったく、しゃーねーな。まぁ、こりゃ元々は嬢ちゃんのモンだからな。完成したらやるよ。それまで待ってな」
「えっ?それってどーゆー事?」
「じゃ聞くけどよ、嬢ちゃん、何か忘れてねぇか?」
「えっと、LAMありがと?」
「ちげぇわ。そぉじゃねぇ!そぉじゃなくてだな、嬢ちゃん、
「あッ!?」
少女は散々忘れないようにとあれほど考えていた、
ハーフメイルはマムからさっき貰ったから修理依頼はしなくなったとは言え……
素材も炎龍ディオルギア討伐には多分使わないと考えていたとは言え……
ウージーの改造は討伐に使うかもしれないが多分使わないかもしれないと考えていたとは言え……
あの時の決闘で色々疲れた事もあったし更にあの日は昏睡したクリスを抱えていたとは言え……それらも含めた
よって結局連絡が少女から来なかったドクは、少女が忘れている=いらないモノだと考えた為に勝手に装備品を造っていた。
要は
全てのネタバラシをされた少女は怒る気がすっかり失せていた。だが
「でも
「確かに
「え?
「なんだなんだ?知らずに闘って知らずに
「だがそんな感じだ。でもあのハーフメイルとこの
少女は正直なところ言葉を失っていた。それくらいの衝撃だった。
その傷心の余り、ドクに頼もうとしていたウージーの改造の件は再びド忘れする事になった。
更にはそのまま何も言わずに
ふらふらと地上に上がり公安のエントランスから亡霊のように外に出ると、そこにはセブンティーンが待っていた。
少女は呆けたままセブンティーンのトランクにLAMを投げ込むと運転席へと乗り込んでいく。
セブンティーンは「オ帰リナサイマセ、マイ・マスター。次ハ、ドチラマデ行カレマスカ?」といつもの通り抑揚の無い声で少女に話し掛けていたが、少女は「屋敷に帰るわ」と抑揚のない魂の抜けた声を返していた。
セブンティーンは少女が自分で運転する気がないと判断し、低いエグゾーストを奏でながら公安の敷地から出ていくのであった。
少女は屋敷に着くと急いで地下室に向かっていく。そして父親の遺品である
-・-・-・-・-・-・-
少女は屋敷に戻るセブンティーンの中で考え事をしていた。炎龍ディオルギアを討伐する為の戦術を練っていた。
だがその中で少女の思考回路は様々なシュミレーションを重ねたが、炎龍ディオルギアを倒せる
「あぁ、あれが「
「ちゃんと素材を確保しておけば良かったなぁ」
従ってそれから取れる素材も唯一無二だ。
だからこそ悔いていた。
少女が炎龍ディオルギアを倒す方法があるとすれば、それは
だがそれは
少女は今までに
デバイスを通常使用の武器とするならそれを真っ先に味合わされる。それくらい
それが
だからこそ、その硬度を撃ち破る事が可能な驚異的とも言える貫通力を誇るLAMに期待したのだが貰えた数は3本。それは同時に圧倒的に火力不足と言わざるを得なかった。
故に炎龍討伐に赴く前に、武器の調達をしなければならないのは分かりきっていた。
否、それは星持ちとなって魔獣の討伐
だからこそ
然しながら後悔してももう後戻りは出来ない。拠って通常火力の底上げの方法を、セブンティーンの中で少女は必死に考えていたとも言える。
そこで辿り着いた考えが父親の
刀身には綺麗な波紋があり一点の曇りもない。それは
だがこの刀は「
そしてそれは、この「
武器には魂が宿ると言われている。それは作成者の魂なのか使用者の魂なのか、
だからこそ少女がこの「
「剣に認められていない」
それが少女の出した解答だったが、認めて貰う為の方法はその時は分からなかった。
だが今回の炎龍討伐に於いて……
少女が描いた戦術に於いて……
少女が導き出した戦略に於いて……
だからこそ改めて
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「爺、下のトレーニングルームで、父様の
「かしこまりました。暫くお待ち下さいませ」
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