第53話 宿屋で…騒動 1
商人ギルドを出て直ぐに後を付けられそうになったので、魔法を使い民家の屋根に飛び上がった。
ギルドから少し離れた家の屋根から、そぉ~っと下を見る。
マップに表示されてる赤い点の4人が、騒いでいる。まぁ、直ぐに追いかけたのに既に俺の姿が見当たらなければそりゃ~慌てるよな?多分……。
おし!取り敢えず巻けたか。
さて、宿に帰って町を出ていく用意しないとな…!っても、用意なんてしなくても直ぐに出ていけるんだけど…。
一応宿屋で、部屋を押さえてるからそこはちゃんと話して引き払わないとな。
《律儀ですねぇ…?態度の悪い宿屋なのですから、一言断って出ればそれで住むのでは?》
『それはそうだろうけどさぁ~。取りあえずねぇ…』
気になることもあるしね。
今立つ場所からフライで空に飛び上がり、宿の上まで移動して人気の無い路地で降り宿に入る。
「あら、アキ君。今帰りかい?」
宿に入ると直ぐに声を掛けられた。
あ、アキくん?随分……と軽いし、なんか馴れ馴れしくないか?
なに?この宿、こんなに客を舐めてるんだね。まあもう関係ないけど。
「ええ。あっ、女将さん」
「はい、部屋の鍵だよ。…何だい?」
「俺、明日の朝此処出るんで。残りの宿代って返ってくるかな?」
まあ、返ってこなくても大した金額ではないから、良いけど……気持ち的には返してほしいのが本音だよなぁ~。
「おや?随分と急な話しだね? 何かあったのかい」
「まぁ色々ね。で、返金はあるの?」
「…そんな訳がないだろ! 此方は言われた日数で、部屋を貸してるんだから。それに、あんたが出て行って直ぐに、次の客が来るわけでも無いんだ。貰った金は返せないね」
貰った金って……。
そりゃ~部屋代だから、此方が払った金だけど言い方ってあるよな…
「はぁ? 何だそれ? 仮にも客に対して、その言い方ってないだろ?」
それに急に口調が変わってないか。
この宿って、そんなシステムなの?
おかしくないそれ?
怪しいよね?まぁ良いや、もうこんな町出てくしな。お勉強だ畜生!
「ふん!」
ムカつく……なんだ?この態度は!
「あ~、なら今から中庭貸してよ?今昼の12だから、昼の3つ過ぎるくらいまで貸してよ」
「何するんだい? 別に構わないけどさ」
「よし!言質取ったからな、後で文句言って来るなよ?」
「ふん! 好きにしな!」
可笑しいな?俺まだ客だよな?何で急に態度が悪くなったんだ?
「あぁ、それからあんた昼飯は、どうすんだい!」
律儀に昼飯って…それも、切れ気味で聞かれてもさぁ~食うわけないし!食いたくもない。
「んなもん要らんよ。じゃ、中庭借りるからな!くれぐれもあんたら、俺の邪魔をしないでくれよ」
誰だよ、良い宿屋とか言った奴!
何故か、急に態度が変わった女将。
まぁ、想定内だが…態度が激変過ぎだろ(笑)
胸糞悪い!鑑定は前もってしてあるが、それにしてもムカつく。
中々腹の虫が収まらないが、ここは気分を変えます。中庭まで来たので早速開始ですよ。
《主。怒り浸透なのは、分かりますが。少しは自重して下さいね》
『ナビさん俺は腹が立っている、自重?何それ美味しいのかな?』ふん!
《あぁ、駄目ですね。で!今から何をやらかすんですか?》
『え、決まってる、食テロですよ!』
にしても!この世界って、あまり食が発展してないよねぇ~。
アルシャってなにしてんのさ?
《・・・・・・》
あら、ナビさんノーコメントですか?
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