モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~

古里@3巻発売『王子に婚約破棄されたので

第一部 学園始動編 モブでなく悪役令嬢だと判りました

第1話 プロローグ 乙女ゲームの世界に転生できたのにモブですらありませんでした

前世、私は、コミュ障で引きこもりだった。

元々、話すのが下手だった私は小学校の頃から虐められていた。それでいつの間にか学校に行くのを止めたのだ。でも、当然コミュニケーションが良くなるわけはなく、ドンドンドンドン社会から離れていった。心配した親に施設に入れられたが、そんな施設に入ってもうまくいくわけはない。最後は何故死んだかも判らなかった。抗うつ剤とか、薬漬けで殺されたようなものだった。

最後に朦朧とした意識の中で、神に祈ったのだ。


「神様、來世は出来たら私の好きだった『オースティンの聖女』というゲームの世界に転生させてください。出来たらヒロインで」

ダメ元でお願いしてみたのだ。そんな自分に都合の良いことが起こるわけはないとは思っていた・・・・


そんな前世のことなんてすっかり忘れていた。普通前世のことを覚えていることなんて無い。

私も当然忘れていた。


12歳の時だった。この国の名前がオースティン王国だとわかった時だ。

私の頭の中に一気に前世の記憶が流れ込んできたのだ。私は高熱を発して3日間寝込んでしまった。


そして、なんと前世で死ぬ前に神様にお願いした乙女ゲーム『オースティンの聖女』の中に転生したのを理解したのだった。


『オースティンの聖女』は平民の女の子すなわち、ヒロイン、私は自分の名前でやつていたので、その名前は忘れてしまったが、16歳になる時に魔術適性検査で、聖魔法の適性があるのが判明。王立学園に入って、そこの生徒たちとやり取りしながら恋していく話だ。


私の名前はアン・シャーリー、そうかの有名な『赤毛のアン』の主人公と同じなんだけど、このゲームの主人公の名前ではなかったはずだ。あああん、神様の馬鹿。どのみちならば主人公に転生したかったのに。アン・シャーリーなんていたっけ?。いや、いなかったように思う。そもそも私は赤毛なのだ。これが赤毛のアンだったらそのまま主人公を張れるのに・・・・。失敗した。赤毛のアンの世界に転生させて欲しいって祈ればよかった・・・・。赤毛のアンの話も私は大好きで、このシリーズは何回も読んでいたのだ。後悔先に立たず。もう今更どうしようもないけれど。

ゲーム中の唯一の赤毛は、悪役令嬢役の隣国の王女のアンネローゼだけだったと思う。

彼女は皇太子殿下の婚約者で、皇太子に近づく、平民上がりの天真爛漫なヒロインの聖女を徹底的にいじめるのだ。最後はならず者を雇ってヒロインを傷物にしようとしたところを皇太子に邪魔されるのだ。

そして、怒った皇太子によって隣国に返された。丁度その時に隣国でクーデターが起こって確か王女は処刑される運命のはずだ。


私は盛大なため息をついた。悪役令嬢じゃなかったからまだましだけど、アン・シャーリーなんて、モブにもいなかった。完全にモブにもなれない街の人Aだ。これじゃあゲームのことを知っていても何にもならないじゃない!


これなら悪役令嬢の方がマシだ。私は愚かにも、そう思ってしまったのだ。


でも、こう思ったことを私は死ぬほど後悔するのだが、それはまだまだ先の話だ。


取り敢えず、私はせめて王立学園に入いってゲームの進行を直ぐ側で見られるように、精一杯勉強しようと心に決めたのだった。

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