第42話
「ありがとうございましたあ」
おにぎり屋さんでおにぎりを買ってベンチに座った。
「ちょっとさっきの人見た?!」
「女の人?」
「半眼でずっと無表情で笑顔無し、愛想無し、ロボットみたいだったわよ、笑いそうになっちゃたわ」
「ちょっとあの人に悪いっておねえちゃん」
「私、もうあの店で買うのやめるわ」
「いや、やめちゃうの!?」
「うそよ、けどやっぱり女って愛嬌がないと駄目なのよ」
「そうかなあ、人それぞれあると思うけど、それより旦那さんのプレゼントなんにするの」
「まだ決めてない」
おねえちゃんは笑いながら言った。
「よーし、かずさ、食べたらまた見に行くわよ!」
「虫さんのガチャガチャだ! おじさんちょっとやってくから待ってて」
「あいよ」
ショッピングモールのガチャガチャコーナーにいる。
「このダンゴムシさん、欲しいなあ」
萌はお金の投入口に百円を入れて回した。
「あれ? でてこない」
回そうとしても回らなくなっていた。
「すいませーん」
萌は店員を呼んでお金を取ってもらった。
また、お金を入れた。
またでてこない。
また、店員を呼ぶ。
店員は「申し訳ございません、お好きなのをどうぞ」と言って、ガチャガチャのボックスの蓋を開けて萌に好きな物を選ばせてくれた。
「これとー、これとー……」
(何個選ぶ氣だよ、もうガチャガチャじゃねえよ)
と信也は心の中で独語した。
萌はお目当ての物を手に入れて、ご満悦だった。
「見て、おじさん」
なんともいえない、ニンマリした顔をしている。
(萌の将来が不安だ……)
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