あなたが元気になれば:読む人によって面白さとか優しさとか強さとか正義感とかを少し感じて、あなたが元気になればわたしも元気でいられます。
UD
第1話 水筒
いつもの時間に家を出る。
いつもの通り少し遅くなったわたし。
そしていつものあなたとの会話。
「今朝、水筒にお茶を入れてきたんだけどね…」
「うん」
「こないだ淹れたマスカットティーの香りが残ってるんだよ。漂白剤も使って匂いは消えるはずだったのにね、いつまでも残ってるの」
「ああ、それはね」
「うん」
「水筒がね、マスカットティーとのことを忘れられないんだよ」
「え?」
「あの時の甘酸っぱい思い出をね。忘れられないんだよ」
「え? 水筒が?」
「うん。もう時間が経ってうっすら香る時となんでまだこんなに香るの? ってなる事があるでしょう?」
「う、うん…」
「それは水筒がマスカットティーとの思い出を少し意識してる時とどっさり意識してる時の違いだね」
「…水筒が? どっさり?」
「うん。水筒が。どっさり意識するよね?」
「水筒が?」
「そう。だからね。漂白剤とか入れて無理に忘れさせるようにしてもダメなんだよ」
「ん?」
「水筒にね、もう忘れなよ、甘酸っぱい思い出は。って伝えなきゃ」
「…水筒に?」
「うん。今はもうお茶と付き合ってるんだからあの時の思い出は思い出として心に秘めておくだけにしないとってね」
「言わないよ、水筒に。おかしな人と思われちゃうじゃん」
「でも、ちゃんと水筒の気持ちになれたでしょう? 忘れられない思い出なんてみんな持ってるんだから、水筒だってきっと持ってるんだよ」
いつものように変なこと言ってる。
いつものように笑いあう。
いつものように
わたしはあなたのことが好き。
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こんな感じで進みます。
会話の中に何かを感じていただけると嬉しいです。
お気軽にコメント等いただけるとさらにうれしいです!!
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