第39話 日笠と一緒にいざジムへ!①

「う、うーん……いやでもそういうのってめっちゃ大変だろ? ずっと喋りながらゲームするのって絶対にセンスが必要じゃん?」


 俺もFPSのゲーム配信はユーチューブとかトイッチで見てるけど、やっぱりどの配信者も延々と喋り続けてる印象がある。 そんなに喋るネタをよく持ってるなといつも感心してしまうもん。


 俺だったら確実に10分くらいで喋るネタがなくなって黙々とゲーム画面を垂れ流すだけの配信にする自信しかないわ。


 まぁそれでもやっぱりゲームが好きな身としては、何となくだけどそういう配信とかも興味はあったりするけどさ。 でもさ……


「それにさ、配信するのって必要な機材とか結構多いだろ? そういう機材を揃えるのも大変だろうしさ、流石に配信するのってハードルがちょっと高いよなー」

「うーん、確かに必要な物を揃えるのは大変だよねー。 でもボク達の部室にはそういう機材は全部完備してあるよー。 だからもしお兄さんがこの部活に入ってくれたらさー、何でも機材使い放題だよー!」

「あはは、だよな……って、え!? 何それすごいな! え、もしかして部活中に配信とかもしてんのか?」

「ううん、部活中には配信はしてないよー。 でも録画したり編集したりする機材は一通り揃えてるからさー、皆のプレイ動画を動画サイトに投稿したりとかはしてるんだー」

「あ、あぁ、なるほど、流石はe-sports部だな。 へぇ、何だか霧島の話を聞いてたらめっちゃ入りたくなってきたわ」

「おー、それは嬉しいなー。 あ、じゃあさじゃあさー。 良かった今日の放課後に見学しにこないー?」

「え? 今日の放課後?」


 俺がそう言うと霧島は部活見学をしに来ないかという提案をしてきてくれた。 それは俺としても非常に心惹かれる提案だったんだけど、でも……


「あー、いやその提案はめっちゃ嬉しいんだけどさ、でも今日は放課後ちょっと用事があるんだよね」

「あ、そうなんだー。 今日はお兄さんの入ってる部活がある感じなのかなー?」

「いや、今日は部活休みなんだけどさ、でも部活の後輩とちょっと出かける用事があるんだよ」

「へー、そうなんだねー」


 そう、今日はサッカー部は休みの日だ。 という事で今日の放課後は日笠と一緒にジムの見学に行こうと約束をしていたんだ。 日笠とは放課後に校門前で待ち合わせをする事になっていた。


「でもいいなー、部活の後輩と一緒に出かけるなんて仲がとてもいいんだねー。 じゃあこっちの部活見学はいつでもいいよー。 お兄さんの暇な時に遊びに来てねー」

「あぁ、わかった。 そういえば部活をやってる曜日っていつなんだ?」

「えっとねー、基本的に毎日誰かしら暇な部員は部室にいるよー。 皆ゲームが好きだから部活の日とか決めなくても勝手に集まってる感じだねー、あははー」

「あはは、なるほどな。 わかったよ、それじゃあ今度暇な時にラインで連絡するわ」

「うん、わかったー。 じゃあお兄さんが遊びに来てくれる日を楽しみにしてるねー」

「あはは、俺も楽しみにしてるよ」


―― キーンコーンカーンコーン♪


「あ、しまった。 もう午後の授業が始まっちゃうな。 それじゃあまたな、霧島」

「うん、またねーお兄さん」


 ちょうどその時、お昼休みの終わりを告げるチャイムがなりだした。 なので俺は霧島にそう告げてから自分の教室へと戻る事にした。


(うーん、それにしても……)


 霧島か……何だかお人形さんみたいな感じでめっちゃ可愛かったな。 今日は制服だったけど、あれは是非とも私服姿の霧島も見てみたくなった。 どうにかして霧島と仲良くなっていけば、ワンチャンあるのかな?


(よし、霧島とも是非とも仲良しな関係になってみせるぞ!)


 俺はそんな事を意味深な事(どう考えてもえっちぃ事)を考えながら自分の教室に戻って行った。


◇◇◇◇


 そして時刻が進み、今は放課後。 俺は校門前で日笠が来るのを待っていた。


「お待たせしました! 先輩!」

「おう」


 待つ事数分、日笠が到着して俺に声をかけてくれた。 その時、ふと俺は日笠の事をじっと眺めてみた。


(うーん……同じ一年生でも全然違うよなぁ)


 俺は昼休みに唐突に友達になった霧島の事を思い出した。 完全に校則違反しまくりの地雷系ファッションに身を包んだ自由気ままなゲーマー女子だった。 今思い返してみても中々にインパクトがある子だったな。


「ん? ど、どうかしました先輩?」

「え? あぁ、いや、何でもないよ」


 それに対して日笠は本当に素直で真面目なスポーツ女子だ。 ピアスとかネイルのような校則違反は何もしてないし、さっきの霧島を見た後だと日笠は本当に真面目な女の子なんだなっていう印象を受けた。


 いやそれにしても同じ一年生なのに見た目も性格も何もかもが全然違ってのは面白いよな。 霧島は猫っぽい雰囲気の女の子だったのに対して、日笠は犬っぽい感じの女の子だ。 まぁでも二人とも見た目はめっちゃ可愛いっていう共通点はあるんだけどさ。


(そういえば、日笠は霧島の事を知ってたりするのかな?)


あれだけインパクトがある同級生なんだし、日笠も霧島の事は知ってたりするのかな? せっかくだしあとで聞いてみよう。 それで何か面白い情報とかが手に入ったら嬉しいしな。


「よし、それじゃあ早速ジムに行ってみようか」

「あ、は、はい!」


 という事で俺と日笠は目的地であるジムに向けて歩いて行った。

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