この店員はフィクションです

『明日を恨む生まれものは力を振るう




 近づく者には遠ざかり




 遠ざかる者には』




「何見てるんですか?」




 白檀と対戦相手を交代して、時間が出来たたため半年前に【神託者】が出した声明を聞いていると常連の一人が声をかけてきた。




「何度聞いてもこの【神託】?がよくわからなくてな。ここなら中二病も多いし面白いこと知ってる奴いないか?と思ってね」




『誰が中二病じゃ』




 なぜか店員まで混ざって反応してくる。




「なんで少年以外の全員が反応してくるんだよ」




 げんなりしながら動画に目線を戻すと白檀が話しかけてきた。




「斬汽君よ~少年に後攻1ターン負けしたからって現実逃避はないんじゃないの~」




 おもちゃを見つけた子供のような笑顔であおってくる。




「うっせぇ。黒の【染まりしエヴァン】出してたら赤の魔法しか来なかったんだから仕方ないだろ」




 ふてくされながら答えてると常連の一人が話に割り込んでくる




「だからいつも言ってるだろ。一色デッキが一番強いんだよ」




「いやいや、お前さん黄色一色だから魔力足らなくなって、毎回手詰まりで負けてるじゃん」




「うっせぇ。毎回じゃないやい」




 さらに常連の一人が加わりおじさんがいちゃつき始めたのを眺めていると、店員が閉店を知らせに来た。




「そろそろ閉店します。片付けてください」




「そんな時間ですか。少年そのデッキ上げますのでまた来てください。次は決着をつけましょう」




「はい。その時はよろしくお願いします」




 少年を帰して、白檀が掃除道具を持ってきた。




「なあ、毎回疑問なんだが、店員が閉店時しか働かないってどうなのよ」




 そう、白檀はここ『ミニダケラボ』の店員だったりする。




「いやいや、斬汽さんが知らないだけでレジや品出しやってるからね。人聞きの悪いこと言わないでもらえるかな?」




「店員さんそれ本当ですか?こいつ絶対嘘行ってるでしょ」




「おい、疑うなよ」




「ホームページ更新や公式戦のジャッジなどしてもらっているし、閉店間際の常連の相手は白檀さんの仕事ですからね」




 意外とちゃんと働いていてびっくりしていると白檀に追い出されるように退店させられてしまった。


 邪魔にならないように、ふざけるのをやめて帰路に就こうと店を出たタイミングで会社から電話が来た。




「もしもし」




「安藤さんおつかれさま。申し訳ないんだけど、あした急に教育を行うことになったから、会社に8時に来てください」




「え?明日ですか?今期の教育は先月終わりましたよね」




「そうなんだけどね。詳しいことは今は言えないから明日よろしくね」




「わかりました」




 時刻は20時。


 珍しく遅い時間での変更に困惑しながら帰路についた

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