水底に在る

電灯が涙で揺れて、羽虫が風によろめく。自販機のライトが目を惹いて、堪えきれずに買ったホットココア。4枚の硬貨。その重さが財布から消えて私を微かに身軽にする。増える体積、減った価値。3年前とは違う味。記憶の中で美化されたラベル。嚥下する度に私のものになって満たされる胃と支配欲。視界が揺れても水底に在る、ふやけてしわくちゃになった、人魚になりきれない私の肉塊。それから明くる来世来世。

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