藤堂ニコMk-2
「はい、皆さん。こんばんは。名探偵VTuber藤堂ニコです。今日はちょっとしたお知らせがあります」
[なんだなんだ]
[新しい恋愛ゲー実況か?]
[ボディビルダーまだクリアしてないだろ]
「私、藤堂ニコモデルのアバターが発売されることになりましたー。ぱちぱちぱち」
私は画面にニコMk-2を表示させる。
姫咲カノン先生の希望で作ることになったのだが、私自身も今の姿に近いアバターで外出しやすくなるのはありがたい。
ニコジェネリックが普及すれば、私が中の人だと思われにくくなる。というわけである。木を隠すなら森の中的な。
先日のカルトセミナーでの大暴れで、メガネっ子アバターの中の人が私だと知れ渡ってしまい、今後調査に使いにくくなってしまったのだ。
音声のみの配信ではあったものの、目撃者はいたわけでそれがSNSで拡散されてしまった。
「そっくりといってもあくまで廉価版なので、細部は本体ほど精緻に作られていませんし、オリジナルと同じ色にはできないんですけどね」
何パターンか色が用意されているが、黒髪ボブにはできない。これはオリジナルのトレードマークだからだ。
「というわけで、藤堂ニコごっこがしたい方は是非ですね。こちらをお買い上げください」
[悔しいがちょっと欲しい]
[ニコは幾らもらえんの?]
[《¥2500》これで俺もニコになれるのか」
「まぁ、ぶっちゃけ結構なレベニューシェア率なので皆さんが買えば買うほど私の懐は潤いますね。あ、ちなみに購入者登録と審査がありますし、機能制限けっこうあるのでファンアイテムって感じです」
R18のお店に入ったり、ニコMk-2の姿でビジネスはできない。
もちろん私が使う際は機能制限は解除されているわけだが。
[それでも欲しい]
[欲しいかぁ?]
[《¥2525》グリモワールのホームに御神体として祀る]
[なんかヤベー信者いるじゃん]
「まぁ、結構高額商品なので無理はしないでください。もしレプリカアバターは無理だけど、グッズが欲しいという奇特な方は著作が発売中ですのでね、こちらを買ってくれると喜びますよ」
[キャラグッズがほしいんだよー]
[本はもう持ってる!]
[ニコが公式で出さないから同人グッズばっか]
「えー、作ったら本当に買いますか? 全然信用できないんですけど。私、個人勢で企業が作ってくれるわけじゃないから手間もかかるし、在庫残ったら狭い六畳のワンルームが段ボール箱の山で埋まりますよ」
[出たよ、ファン不信]
[《¥2500》みんなこれだけスパチャしてんだから、買うだろ!]
本当か? なら私はとっくにベストセラー作家ではないのか?と思っていたら……。
【姫咲カノン】[私が責任持ってデザインしますし、在庫管理もしましょう!]
[ママだ!]
[ほら、ママがこう言ってくれてるぞ!]
「わかりましたよ。じゃあ、何がほしいか放送後にコメントぶら下げといてください」
なんかアクリルスタンドとかアクキーとか色々作ることになりそうだが、私はまだ売れると信じていない。
「で、グッズはともかくもう一つ……また探偵としての活動をやりますよというお知らせです」
[おー、来たな!]
[筋肉大喜利と歌と並ぶメインコンテンツ]
[調査期間もボディビルダーの配信はおやすみしないでくれー]
[《¥2525》新曲の供給もお願いします]
[もう探偵やめて大喜利Vになったらいいのに]
「本業は探偵と作家なんですよ!」
一旦コメ欄を無視して、友達がホストにハマっていること。騙されていないかどうか調査に行くということを個人や店が特定されないように説明する。
「私はあくまで調査目的なので、皆さんヤキモチ妬かないでくださいね」
[やかねーわw]
[ウケるw ガチ恋ゼロだから大丈夫]
[むしろホストにちょっと恋愛感情教えてもらった方がいいのでは?]
「おいおいおいー。なんなんですかー。私を心配するコメントはないんですかー」
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