第12話プロポーズ

ひとしきり話し終え、理久とクロの間に沈黙が訪れた。


ただ二人きりの洋風の広間も、物音一つせず静かだ。


だが、理久を見上げるクロの真剣な瞳が、理久から逸らされる事は無かった。


クロのその瞳の色は、世界中のどんな青より美しい…と…


理久は、吸いこまれるように釘付けになる。


そして…


本当に美しいモノに、男だから、女だからと言う理由や区別はいらないと、理久は心から思った。


「理久…」


そう言い、クロのゴツゴツした両手が、すでに握っていた理久の両手に力を込めた。


ドク!ドク!ドク!ドク!


それに理久は、クロを見詰めたまま、自分では止めようも無く胸の鼓動が速くなる。


「理久…もっと早く、早く言うべきだった。理久…お願いだ…俺と結婚してくれ!俺の、たった一人の愛妃になってくれ…」


突然、クロは理久を見たまま、低く美しい声で、優しく、甘く、とろけるように呟いた。





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