Ⅳ 二〇〇九 - 二〇一〇
信管
人ごみの人それぞれに殺意もつ 黄色い線の内側までお下がりください
修了証書ひきさかれたる心地して名刺を全部捨ててしまえり
ティッシュ配りの少女路傍に立ちつくし何か待ってる俺も待ってる
望遠でながめる月はぼろぼろでこのがたがたの歯をたててみる
ダリの絵みたいに垂れているだろ日の丸がダラダラしている運動会に
釣り針の先にぽとんと陽が落ちてまた戯画的に今日も暮れゆく
死ぬようにと言いたる教師なつかしく赤シャツのひと早く死ぬように
殺すことも殺されることもおそれつつながめせしまに月をうしなう
さんざんな週末すぎてカレンダーのからくれないのSundayのS
俺を積む
二十一時過ぎの駅前を早足ですぎるあの女の涙目はなにゆえ
重火器のマニュアルに濃く記されて「敵に向かって引き金を引け」
泣いているふりをしている暇がある ブラウスを干している夕間暮れ
不条理な世にもそろそろ飽きがきてふたたび求人誌を開きたる
怒気はただかげろうのようたましいも腰をおろした凍てつく便座
遊歩道にあふれる死骸累々と晩夏であればおそらくは蝉
よく知らぬ女と流す深更の環状線に黙がこぼれて
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