世界の運命、紙と花
エリカ
第1話 プロローグ 紙と花
THE HERMIT : 逆位置
親は1番の癌だった。
「あんた、何でこんなこともわからないのよ!!うちの子ならこれくらい出来て当たり前でしょう!!」
「そうだ、お前は我が家の恥だ!!今日の飯は無しだ!しっかり反省しろ!!」
テストで1点でもミスをすると、母からは罵声が、父からは拳が飛んでくる。
(親がいなければ...親がこいつらじゃ無ければ、もっと充実した日々を遅れたのか...?)
「あっはははは!やっぱり今日も相変わらずキモい。お前なんて学校に来なくていいのに!てか来ないでよ!!」
(こいつらもだ。こんなやつらの神経が俺には本当に分からないな。...分かる必要もないが)
リーダー格の女にもたくさん嫌味を言われている。それに便乗して周りの仲間もくすくす笑い出す。
この星川中学校では、いじめは今まで一切起こっていなかった。つまり、テンプレな上履きに画鋲などの陰湿ないじめは、俺が初めてということだ。
「えっと、じゃあここの問題、佐々木くんお願いします。」
「4Xです。」
「はい、正解です。では―」
俺は自分で自覚できるほど頭が良かった。
今の問題は簡単すぎるが、中2の俺じゃあ分からない筈の問題でも、容易に分かった。
だからこそ、俺を妬んで嫌味を言うやつがいるのだろう。
(嫌味を言う暇があれば努力しろよ)
『....ら.....うな.....ね』
「.....ん?今...気のせいか。」
最近不可解なことが起きている。誰もいないのに声がするというものだ。
(もしかして、この世の誰からも俺を殺しに死神が来たとかじゃ無いよな?...まあ死神なんてファンタジーな存在、いるわけない。)
もしそうなら、人間以外の生き物にも嫌われているってことだ。そうなって、一人で孤立できればどれほど楽か...
そんなとき、唐突に知り合いの声がした。
「陸斗くーん!一緒に帰ろ〜!」
「ああ、彩花か、いっつも思ってるがお前友達はいいのか?」
「うん、だって私がいないと陸斗くん寂しいでしょ?友達は別にいいから。」
...本当、物好きなやつだ。クラスでも親にもいじめられている俺に、何故かひっついてくるのが、幼なじみの一之瀬彩花だ。
「陸斗、最近元気ないよね。やっぱり中2になってクラス別れちゃったもんね。」
「...気のせいだろ。俺が元気だったことってあるか?」
「私といるときは元気でしょ?」
(本当、自意識過剰とはこのことを指すんだな。そんなことあるわけ無いだろ)
彩花とは家が近いから一緒に帰ってるだけだ。あいつには悪いが、色々あってもう何も信じたくなくなってる。自分さえも。
こんな時、あの謎の声なら信じてもいいのかと、血迷ってしまうほど、心が疲れているのだろうな。
路地裏に差し掛かったとき、彩花が何かを見つけたように呟いた。
「...ん?ねえ陸斗、あれ...」
そこには、広がり続ける血の海と、
―1輪のオレンジ色の
マリーゴールドが咲いていた
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