異世界、ベッド、小鳥
異世界のベッドの仕事は過酷だ。何せ異世界だから。
突然冒険者が襲撃されて叩き割られたりする。
今日も今日とてベッドがまた一つ割られ天へ登って行った。
次は俺の番だろうか。それとも隣の予備だろうか。
良い陽気の中で干されたシーツが、新たな犠牲者の為に広げられる。
「ンッダゴラー!」
「ザッケンナコラー!」
そして今日は冒険者同士の言い争いでベッドが叩き壊された。
これだから異世界は嫌だ。野蛮が過ぎる。俺は絶対に生き残ってみせるぞ。
いや、俺は寿命を全うして見せる。ベッドの寿命ってどれぐらいか解んねーけど。
「はぁ、何でうちはこんなに野蛮な連中が泊まりに来るのやら・・・」
宿の店主がぶつくさと文句を言いながら新たなベッドを用意する。
これだけベッドが壊されて何故経営が続けられるのか謎だ。
「今日は壊されませんよーに」
店主の願いはそもそも頭がおかしいと思う。何故毎日壊されなければならんのか。
普通ベッドって壊される物じゃないだろ。いいとこ机が良くある犠牲者のはず。
・・・一番被害が少ないのは何だろう・・・椅子?
いや、椅子も駄目だ。古い中国映画とかではしょっちゅう壊されてる。
因みにあの手の椅子は最初から壊しておいて木くずを詰めてるらしい。
どうでも良い知識を貴方に。明日友人にどや顔で教えて嫌がられると良いぞ。
いやそんな事は心底どうでも良くて、俺が壊されない為にはどうすれば良い。
ねえ開いた窓から入って来た小鳥さん。私に正解を教えてお、あっ、てめ、糞を!?
この野郎ぶっ殺すぞ! 手足もねえから何も出来ねえけどぶっ殺すぞ!!
「ンッダコラ!? トリノ糞ガツイテッゾゴラァ!」
あ、死んだ。これは死んだ。完全に頭がイってる感じのお方だ。
そうして俺は振り上げられた拳に叩き割られ、ベッドとしての一生を終えた。
次は美少女の寝る天外付きベッドに生まれ変わりたい。
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