MOMO

百はな

Prologue

赤くて黒い世界に俺はずっといた。


鉄臭い匂いがいつも鼻に届いて、俺の心に喪失感を残す。


俺は誰かを殺して今日も生きている。


死んで行く人間の顔は何よりも醜い物で、命乞いの言葉はもっと汚い。


この世界は汚い物が世界を染めている。


今、俺の目の前には真っ白な人間がいる。


白い睫毛から見える瞳で俺を見つめている。


真っ白な額に俺は銃口を突き付け、いつものように引き金を引こうと指を動かした。


だけど、俺の指は動く事を拒否した。


それはまるで呪いのように、毒に体を犯されているかのように動かなくなった。


「私を殺しに来たんですか?」


少女の高くて甘ったるい声が耳に届いた。

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