天にも昇る心地!(夢編)

ある日、息子が不治の病にかかってしまった。

妻は、交通事故で亡くなっており親は、もう私しか居ない。

私は、急いでいろんな病院に尋ね回った。しかしどの医者も首を横に振るばかり、息子は、日が経つごとにどんどんやつれていった。

そんなある日ある一本の電話が入った。

「あの人なら治せるかもしれません!」

私は、藁をも掴む思いでその話を聞いた。どうやら海外の医者でとてつもない技術を持っているらしい。

しかし、聞いてみると手術代が1000万円。

勿論そんなお金は、ない。

しかし、私は、頑張った。


が、


やはり貯らない。

あたり前だ、

別に今働いている会社の給料が良いわけでもなく、

いま必死に働いてるバイトも、

良いわけもなく。

いや、そもそも、金額が高すぎる。


私は、どうしようかと道の前で大きくため息をついた。

そのとき、

目の前にヒラリと一枚、

「タカラ…クジ?」


どうやら宝くじのようだ。

私は、変な気分になりながらも仕方なく宝くじ売り場に持っていた。


す、る、と

だ!


なんと1000万円!当たっていたのだ。

私は、すぐにお金を家に持って帰り金庫の中ヘしまった。


良かったぁ…、良かったぁ…

良かったぁ……


『ジリリリリリリ!』


「はっ?!」


朝の七時、


「ゆ、夢?!」


「そ、そんなはずは、ない、」


急いで金庫の中を確認する

が、


中身は、空っぽ。

1000万なんて大金あるはずもなく。


嘘だろ…、嘘だろ…、嘘だろ…、


「ん、?」


「てか、そもそも息子なんて居なかったわ」


私は、ベッドから起き上がり、

まだ寝ている幼稚園の娘の顔を見た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る