ようこそ、「鯨」へ!

「飛び級、ですか?」

「ああ。もちろん、急に言われても困るだろうし、君にはいくつかの好条件を出そう」


そう言われ、いくつかの条件が書かれた紙を渡された。


「どれどれ…」


『ギルド「鯨」はあなた様をAAAランクに飛び級させるに当たり、以下の条件を提示させていただきます。


・クエスト報酬の増加

・家賃の全額負担*

・月1度に一ヶ月に獲得されたクエスト報酬×10倍のボーナス

・生活必需品費用半額負担

・月1度100000G分の食材の寄付*

・危険度の少ない個人宛クエストの提示

・可能な限り要望の受け入れ(ただし道徳心に外れた要望、法に触れる要望の提示を禁止します)

・ギルド運営施設の自由出入り

・医療手当の全額負担&最高峰の医療手当*


*のついているものは全てギルドの負担です


同意証明

契約を結んだ場合、契約主は以上の条件を飲みこのギルドでAAAランク冒険者として冒険者活動を行うことを誓います。


契約主直筆

ギルドマスター直筆 グラダス・ホエール』

「どうだろう。この条件で、どうか活動してくれないか?」


悪くない。と言うかむしろめちゃくちゃいい。

ただ…


「これ、費用足りるんですか?」

「ははは」


乾いた笑いしか返って来なかった。




「うわ、これまで…ちょっとは考えてくれって言ったのに」

「い、いやすまん。これだけじゃ、これだけじゃって心配になってしまって…」


どうやら、これからかなり稼がないと行けなさそうだ。そんなことを考えているうちに話は終わっていたらしい。


「…では、これでよければサインを」

「あ、はい」

『契約主直筆 スズムラ ハイロ』


…これで、終わりかな。


「…では、こちらハイロ様の冒険者履歴カードとなってます」


俺の名前とAAAと書かれた一枚のカードを渡され、それをポケットにしまった。


「こほん。では、改めて」

「?」


改まって、俺に右手を差し出し


「ようこそ。ギルド『鯨』へ。僕らは、君を歓迎するよ」


俺はその言葉に


「…はい」


力強い返事と握手で返した。

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