ポンコツ神様大困惑~駄女神様の大奮闘~
さいとう みさき
プロローグ:天地創生
「うーん、そろそろ新人の女神たちが入社かぁ。今年から新しい教育プログラムねぇ……」
いもけんぴを食べながら人事課のその神はお茶をすすっていた。
女神学園を卒業して新たに女神になる研修生がもうすぐやって来る。
今のご時世精神論だけでやっていける訳も無く、神の世界も新時代を担う新たな女神の育成に苦慮する時代だ。
「育成係の神にもちゃんとプログラムしてくれって頼まれているしなぁ、とりあえず世界構築基礎プラグラムはこんなもんでいいだろう……」
手元にオーブを光らせその神はそうごちる。
これから作る新たな世界はともすれば新米女神たちにより運営され、発展してゆけばいずれは神々の目に留まり、賞賛であるいいねやフォロー、はたまた評価対象となる。
とりあえずは総合ポイント百になれば御の字だ。
新米神用基本世界創世プログラム。
その神が作り上げたプログラムは非常にベタなシステムだった。
世界を構築する基本はレベルやスキル、称号と言ったモノでその世界での評価が決まり、管理する新米の女神たちもそれを見る事により状況を判断できるというお優しいシステム。
さらに世界の経済を構築する資源やら何やらも数値化して見れるのでよほどのことが無い限り破綻する事は無いだろう。
一昔前は原始人の様な人間たちに神託を与え文明を築かせてかなり苦労をして世界を発展させなければならなかった。
場合によっては「気合いだ!」の一言で先輩たちからはっぱをかけられ、就業時間を終わってから無理矢理飲み屋でくどくどとああした方が良い、俺だったらこうやって来た等とあまり役に立たないアドバイスをもらい、その通りにして見ると失敗してその先輩から怒られるという理不尽が当たり前だった。
しかし今の時代にそんな事をさせていたらやれパワハラだのセクハラだのと騒がれる。
一定の道筋を付けた研修生用プログラムを与え、新世界の創世をさせてその世界を発展させる道筋まで用意しなければならない。
「まったく、若い連中はここまでしないと今はだめとはな…… どうせ親にもぶたれた事無いのだろうな……」
言いながらその神はいもけんぴが無くなっているのに気付く。
「ちっ、戦いは数だと言うのに。もうなくなっちまった。まあいい、とりあえずはこれで出来たからな……」
出来上がったプログラムのオーブを数個コピーして箱に入れ準備を終わる。
そして仕様書をその箱の上に載せてその神は育成係の神のもとへと行くのだった。
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