第十二幕 35 『サバイバル戦決着』


「それでは、エフィメラ様、今度こそ失礼しますね」


「はい。貴重なお時間を頂きましてありがとうございました」


「いえ、こちらこそ……頂いた情報、すごく助かります」


 タイムリミットが迫り、いよいよこの場を辞す事になった。

 今後いつでも会えるように…と、この邸の場所も聞いた。

 もちろん、余程信頼の置ける者以外には教えないようにと念押しされている。




 そして、ここに来たときと同じようにガエル君が『双転珠』を使い、私達は学園へと戻るのだった。





















「さて……状況はどうなってるかな?」


 私は学園の地図を取り出して確認する。

 どうやら既に全位置情報は開示されてる様子。

 開始時の人数は1クラス4人✕8クラス✕3学年で96人。

 今残ってる光点は……20人くらいかな?

 味方を示す青い光点は……よし、全員生き残ってる!

 ……私以外ね!


 どうやら3人とも合流出来たようで、今は近くにいる単独の敵を狙って動いてるみたい。

 ふむ……囲ってボコる算段か。

 定石だけど容赦ないわ〜。











ーーーー ステラ ーーーー


 サバイバル戦もいよいよ大詰め。

 全位置情報開示してのバトルロワイヤルへと移行した。


 こうなれば激突は避けられず、否が応でも人数は減っていくでしょう。



「近くに単独ソロの敵がいますね……狙い目でしょうか?」


「そうね……人数的にこちらが優勢なら積極的に討って出た方が良いと思うわ」


「よしっ!囲ってボコるか!」


 い、言い方がちょっと……その通りなんだけど。



「でも、みんな油断はしないようにね」


「ええ、分かってます」


「だな。姫さんが撃破されるくれーなんだから、俺らが油断なんて出来るはずねぇ」


 私が言わなくても二人とも分かってるわね。

 フリード君も、やっぱりこう言う時は真剣だし。



 それにしても……本当にカティアの身に何があったのかしら?

 まぁ、これが終わったら本人に聞けばいいかしら……











 そして、地図を頼りに敵を襲撃しようと移動した私達は、ついに単独ソロの敵を捕捉した。




「いたっ!!一気に決めるぞ!二人とも支援頼んだ!!」


「ちっ!逃げ切れなかったか!3対1とは卑怯だぞ!」


「ぬかせ!!作戦のうちだ!!行くぜっ!!」



 そう言いながら、即座にフリード君が彼我の距離を詰めていく。

 私は矢を放ち、ユーグ君も初級魔法を連発して彼を援護する。



「せやぁっ!!」


「なんのっ!!」


 キィンッ!!


 フリード君のレイピアの刺突は的確に相手の身体の中心を狙うが、その一撃は剣によって弾かれた。


 流石に単独ソロで生き残るだけあって、一筋縄ではいかない相手のようね。


 だけど……



「はっ!やっ!せいっ!」


「『炎弾』!『雷矢』!」


「くっ!?」


 私とユーグ君の連撃によって、相手は逃げ場を失う。

 流石に多勢に無勢でしょう。

 それでも彼は何とか駕いでいたけど……


 ガッ!


「!?しまっ……」


「もらったぁっ!!!」


 怒涛の如く押し寄せる攻撃を躱し続けていた彼も、ついに足を取られて体勢を崩す。

 そして、当然それを見逃すフリード君ではない。


「シッ!!」


 パリィンッ!!



 裂帛の気合とともに放たれた最速の一撃が、とうとう結界を突き破った……!




ーーーーーーーー








「うんうん、順調だね。……2組そっちはどうなの、ガエル君?」


 3人が順調に敵を減らしていくのを確認しながら、ガエル君に2組の状況を聞いてみた。


「うちは2人残って合流できたようだ」


「おお!良かったね!……フローラさんが残ってるのかな?」


 せっかくだから、彼女には最後まで残ってほしいところだけど……



「それは分からないが、可能性としては高いだろう。あなたも知っての通り、それだけの実力はある」


「そだね。武術もそうだけど……魔法も結構優秀だよね〜」


 私やシフィルみたいに遠近どちらも対応できる万能タイプみたい。

 性格は大人しくて自己評価が低いみたいなんだけど……私を撃破したときみたいに、決めるべきところで決められるのだから胆力もあるんじゃないかな?










 そして、その後も着実に光点の数は減っていき……


『……全選手に告ぐ。たった今、生き残りが5人となった事を確認した。只今を持ってサバイバル戦の終了を宣言する。敗北した選手も含め、全員大講堂に帰還するように』



 ついに、サバイバル戦が決着するのであった。

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