第十二幕 6 『対抗戦』


 ある日のホームルームにて、対抗戦の出場者を決めるための話し合いが行われることになった。

 司会進行は級長ユーグ副級長わたし


 黒板に対抗戦で行われる競技を一通り書き出して、そこに名前を記入していく形だ。

 先ずは競技毎に希望を聞いて書き込んでいくのだが……



「では武術は……女子はルシェーラさんだけですかね?」


「そうだね。まぁ、女子の中では既に話が通ってるから、ここは決まりで良いでしょう」


「そうですか。では、男子は………おや?希望者がいませんね?」


 ふむ……

 まぁ、理由は何となく分かる。

 前世男の記憶もある私としては、君たちの考えてることはよ〜く分かるよ。



「……男女別の競技、これだけだもんね」


「あぁ、そういう事ですか……」


「まぁ仕方がないよね。でもなぁ……戦う男の子の姿はカッコ良いのになぁ……残念だなぁ。ねぇ、ステラ?」


「え?私?そ、そうね……」


 突然の私のフリに律儀に応えてくれるステラである。

 そして、それを聞いた男子は……



「はいっ!!俺、武術に出ますっ!!」


「あ!?ずりぃぞ!!俺も希望するっす!!」


「「俺も!!」」



 ふっ……単純なやつらめ。


 しかし、女子にモテたいと言うのは相当な原動力になるんだねぇ……

 露骨すぎて女子が引いてるのが悲しいところですけど。



「しかし、今度は収拾がつかなくなりそうですね。どうやって決めましょうか…?」


「クラス対抗なんだから、ここは勝ちたいでしょ。だったら適材適所で行かないとね」


「ふむ。そうすると……」


「はいっ!!それなら俺っしょ!!」


 と、名乗りを上げたのはフリードである。


 まあね。

 この間、内輪で話していたときも名前は挙がってたし、実力で考えれば妥当だろう。



 ……やる気の出た他の男どもが納得すればね。


 変に煽らないで最初から名指ししておけば、スムーズに決まったかもしれない。

 ちょっと反省だわ……



 そんなこんなで揉めはしたのだが、結局のところはフリードに決定。

 クラスの勝率を上げるために致し方なしと、渋々他の男子も納得した。

















「じゃあ、長距離走は……この二人で」


 その後は順調に進行していく。

 基本的には自分の得意領域を踏まえた上で立候補している人が多いので、適材適所の点から言ってもスムーズに決まってるね。



「続いて……『マギ・ボール』ですね」


 これは男女ペアの魔法球技だ。

 魔法でボールを撃って相手陣地のゴールにいれると言うものなのだが……ルールの概略はこんな感じ。


 ・コートは二分割され、自陣と敵陣に分かれる。

 ・選手が移動できるのは自陣のみ。

 ・ボールを魔法で撃って、相手ゴールに入れたら1点。

 ・5点先取したチームが勝利。

 ・直接ボールに触れてはならない。

 ・相手選手に魔法を当ててはいけない。

 ・ボールはどの位置にあっても(相手陣地にあっても)撃って良いが、一度当てたら他の人があてるまで撃ってはいけない。



 前世で言うところのテニスとホッケーを混ぜた感じかな?


 これは魔法競技経験者のシフィルと、彼女と同じ『攻撃魔法研究会』に所属する男子とのペアに決定。






「では、最後に、『サバイバル』を決めたいのですが……」


「男女2人ずつだね」


 男女混合の団体競技である『サバイバル』は、その名の通りの競技である。

 学園の敷地内を戦場に見立てて生き残りをかけて戦うと言うものだ。

 個人の戦闘スキルだけではなく、作戦やチームワークが重要になる。


 私はこれに立候補してる。

 そして、ステラもだ。

 この娘がこれを選ぶのは少し意外だった。


 しかし、男子の定員が埋まらない。

 と言うのも、もう既に全員が何らかの競技に割りあたっているからだ。

 こういう場合は一人で2つの競技に出ても問題ないが、スケジュールが重ならないようにする必要がある。


 そして、その結果……フリードとユーグに決まった。

 ……決定に至るまでには壮絶な戦いが勃発したのだが、それは割愛する。

 戦闘能力と知略が決め手になった、とだけ言っておこう。


 なお、ユーグは他にチェスに参加することになってる。

 イメージぴったりだね。





 こうして、対抗戦の参加者は全て決定した。

 あとは作戦を練ったり練習したりして……そして、当日を迎えるのみである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る