第十一幕 10 『ルシェーラ対フリード』
先程の私達と同じように生徒たちが囲む中、ルシェーラとフリードが対峙する。
ルシェーラはいつもの通り
実戦で使っている
言わずもがなパワー重視のスタイルだ。
一方のフリードは
攻防のバランスに優れたスタイルと言える。
これはお互いにやり難い相手なんじゃなかろうか?
取り回しの難しい重量武器のルシェーラは、懐に入られての連撃は捌きにくいだろうし、一方のフリードも重量武器の重たい一撃は
おそらくは二人の成長を促すための組み合わせかと思える。
「ねえねえ、どっちが勝つと思う?」
メリエルちゃんが無邪気に聞いてくる。
「フリードも強いけど…まぁ、ルシェーラが勝つんじゃないかな?」
「でも、彼も結構強いよね?」
今度はレティが聞いてくる。
「もちろん、フリードが勝つ可能性もあるよ。……ただ、もしアイツが勝って調子に乗ったらムカつく」
「「あ〜……」」
そう言う意味でもルシェーラには頑張ってもらわねば!
「よし、準備はいいか?」
「はい、いつでも大丈夫ですわ」
「俺っちもいいっすよ」
二人とも気負いなく応え、構えを取る。
「では、始めっ!!」
「はぁーーーーっ!!!」
開始の合図と共に飛び出したのはルシェーラだ。
大きく振りかぶりながら一足飛びに間合いを詰め、低い姿勢からの足払い!!
「うわっと!?いきなりかよ!!」
そう言いながらも、ヤツは後方に飛び退って危なげなく一撃を躱す。
だが、ルシェーラの攻撃はそれで終わりではない。
初撃が躱されるのは織り込み済みで、すぐさまハルバードを引き戻し、ヤツを追うように突きを繰り出す!
「くっ!!」
何とか身体を捻ってそれも避けるが、余裕はなさそうだ。
開幕の二連撃を辛くもやり過ごしたフリードは、距離を取って体勢を立て直す。
「いいぞ〜ルシェーラちゃん!!」
「変態をやっつけろ〜!」
「フリード!とっととやられちまえ〜!」
観客から歓声(?)が上がる。
「ちょっと!!お前ら俺っちへの応援が無いんだけど!?」
当たり前だ。
(見た目)可憐な美少女と変態だったら、美少女を応援するのが普通でしょ。
女子も男子も。
「…ちょっとフリード君、可愛そうじゃないかしら?」
「へ?…い、いや、ほら、皆本気じゃなくて、アレはじゃれ合いみたいなものだから…人気者だから逆にヤジも飛ばせるんだよ!」
「…そう?なら良いのだけど」
…ステラ?
ま、まさか……いや、そんな訳ないか。
彼女は優しいから……それ以外の理由は無いはず!
と、ともかく!
今はルシェーラの試合に集中だ!
初撃以降もルシェーラの怒涛の攻撃をフリードがギリギリのところで躱すという構図は変わらない。
一見してルシェーラが押しているように見えるが……フリードがこのまま受け身のままとも思えない。
ケイトリンみたいな、何をしでかすか分からない雰囲気があるんだよね。
ヤツの表情も、最初のおちゃらけた感じは鳴りを潜め、今は真剣そのものといった感じだ。
…いつもそうしてれば良いのに。
そう思いながら試合の趨勢を見守っていると……遂に事態が動く。
ルシェーラの薙ぎ払いを、スウェーバックでギリギリのところで躱したフリードが一気にルシェーラの懐に飛び込む!
「シッ!!」
そして
だが…!
「ハァーーーッ!!」
気合一閃!
ルシェーラから放たれた圧縮闘気がカウンターでフリードを襲う!
以前ガエル君との戦いで見せた技だ。
全方位に放たれるこれを至近距離で回避するのは至難のはず。
しかし…!
「なんのぉっ!!もらったぁっ!!!」
フリードは咄嗟に攻撃を中断して、アクロバティックに跳躍して闘気を回避!
ルシェーラの頭上に舞い…そのまま逆剣を振り下ろす!!
「甘いですわ!!」
ルシェーラを捉えたと思った攻撃は、しかし空を切った。
なんと…最初に躱された
そして、空中でフリードど交錯…そのままヤツを蹴り落としてしまった!
「ぐはぁっ!?」
そして、地面に叩きつけられ転がったフリードに、ルシェーラの
「よし!そこまで!!」
遂に決着が付くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます