読解力向上のための要約練習

戸賀内籐

方針

 俺は読解能力が著しく低い可能性が高い。

 AIvs高校生という本の中に、読解力を問う問題があった。

「ははん、この程度たいしたことないっすよ。俺は大学入試現代文ではノー勉で全国60位だった男だ」


 全問不正解のカスだった。


「ま、まぁ東大生も半分くらいしか成功しないらしいし?

 今日はトップガンマーヴェリックを見に行く日だからそんなもん関係ないし?

 あー楽しみで全部忘れちゃう!」


 ショックから立ち直り、フレッシュネスバーガーで昼飯を食っていた俺は、暇つぶしに友人たちに同じ問題を解いてもらうことにした。

「友人達よ、この問題をやってくれよ! きっと間違うはずだ!」


『俺は美少女だから全問正解だった。前からお前とは話がずれると思ってた』

『全問不正解は逆に偉業だよね、誇っていいよ』

『私はお嬢様なので一問正解しましたわ。オーッホッホッホ!』


 全問不正解のカスは俺だけだった。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛」

 フレッシュネスバーガーのクラシックチーズバーガーを握りつぶしそうになってしまう。マックのパサパサチーズバーガーならまだしも、フレッシュネスバーガーでやったらマジでやばかったから理性が働いて助かった。


「なんとかせんといかんな。マーヴェリックのように正面から困難に立ち向かわなくては」


 トム・クルーズ効果で気分がすっかり前向きになっていた俺は、前向きに勉強することにした。


 読解能力に関する記事を読み漁っていると、鍛えるには文章の要約がいい、と参考文献を示さずに書かれている。


「そりゃいい、自分の作品の要約もできないって凹んでたところなんだ!」

 潤んだ瞳を隠すように気丈に叫ぶ。


 しかし私は高い新聞を購読するのも、ここに掲載するために他人の文章を全部打ち込むのもゴメンだ。

 そのため、自分の趣味の分野から例文を引っ張ってくることにした。

 Steamの『このゲームについて』である。

 そこにはゲームの説明が書かれており、文章量も比較的コンパクトでちょうどいい長さになっている。おまけにコピペもできる。

「もし怒られが発生したら消せばいいしな」

 そう思い、俺はここに要約文を書き込んでいくことにした。

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