140字まとめ◆2022年5月分

Twitterで更新している呟き作品をまとめました。

タイトル、本文、更新日の順です。

視点は基本笹木さん。


◆『星間戦争』

「GWはゴールデンウィークだけどSWはシルバーウィークじゃなくてスターウォーズだよな」

仕事に飽いた同僚の叫びにSW未履修だと返したら、いかにSWが人生を彩るのかを説かれた。人生損するとは言わないコイツが好きだ。フォースの祝福がありますように、知らんけど。

5月2日


◆『直接』

「SWさ」

「お、もう観たん?」

「どれから観りゃいいの」

「……IT勤務の台詞で一番不適切じゃないのそれ」

「つまり?」

「検索は?」

「あれだけの熱弁だったし、オマエから聞こうかなと」

「妙に義理堅いね!?」

明日休みだからテンション高いな。お互い様か?

5月3日


◆『三つ巴』

これだから血中カフェイン濃度の低い奴は、常々レッドブルが自分の血液だと語る同僚が謎のマウントを取ってきた。こちらの血液がコーラなことを知っての所業だ。うるせー覚醒すればいい訳じゃ、反論に三ツ矢サイダー派があの、と割り込む。今度は知名度マウントか?

5月5日


◆『トレンドカラー』

鮮やか過ぎる緑が目に痛い。強面と相まって今日の同僚はあまりに近寄りがたかった。どしたのそれ、困惑から出た言葉に、今年のトレンドらしいじゃん俺好き、満面の笑顔が返ってきてしまったので口を噤む。好きな物に祟りなし。違うか。触らぬ神にの方かもしれない。

5月8日


◆『確定した未来』

足の小指を強打して叫ぶ同僚に、オマエそんな大騒ぎしてたらまたぶつけるんじゃねーの小指、と思ったが話すのが面倒でまたぶつけるよと略したら、なにその予言!?と慌て、同じ箇所をぶつけた。恨みと恐怖がない交ぜの視線が痛い。ごめんな、今度は略さなかった。

5月10日


◆『恋だとしたら』倉田さん視点

怪我をした時最初に感じたのは安堵、次が失望だった。安堵はこれで終わること、失望はそんな自分に対して。サッカーを好きだったけどサッカーは俺を見なかった。片想いは辛すぎたのに諦めもつかず、本当に若い恋のようだった。お前にもあった?

同僚は曖昧に笑った。

5月12日


◆『愛だとしても』倉田さん視点

まだ好きなの、サッカー。同僚がこちらを見ず呟いた。もう嫌いだよ。考える前に口が返す。そう、好きだったことを忘れる位嫌いたい。怪我を手痛い手切れ金にして縁を切ったんだ。そんな思いを込めて再度繰り返す。もう嫌いだよ、俺のこと好きじゃないやつなんてさ。

5月14日


◆『雑談』

「ずっとこうやって馬鹿話してたい」

「どーした」

「最近皆健康か金の話でさぁ」

「年頃だからな」

「お前みたいな訳分からん話しないのよ」

「褒めてるようでディスってんな?」

「会話ってこういうもんやん」

そこには同意するが、断じて意味不明な話はしてない。

5月16日


◆『ひとくちぶんだけど』

いつからかカフェインが駄目になり、避けている間により弱くなった。珈琲は特にで、好きだけど一杯は厳しい。いつかの雑談を覚えているのか、同僚はフロアのコーヒーメーカー使用時にはほんの少しお裾分けを持ってくる。一口分の珈琲はいつも冷めているのに温かい。

5月18日


◆『天使と鬼』

欠伸の殺害中、落涙。眠い。正面の同僚も忙しなく瞬きをし目が合う。

「鬼の目にも涙やん」

「誰が鬼だ、誰が」

「大丈夫、俺しか知らんから」

ウインクとティッシュ。

「ならオマエは」

「勿論天使よ」

強面の天使は俺って優しいと自画自賛した。うるせー悪人面め。

5月20日


◆『よくあるはなし』

休憩中突然の悲鳴、顔を上げれば同僚の悲しげな顔が早く聞けと催促していた。しょんぼり眉毛に免じて尋ねると、じゃがりこ刺さった!

緑のパッケージを差し出してくる。ごちそーさん、摘まんだ一本が歯茎を攻撃したのは内緒にしておく。残念ながらバレてそうだけど。

5月22日


◆『シガレット』

いつも通り喫煙所へ現れた同僚に用意していたものを放る。

「なん、これ」

「煙草吸わない喫煙者にやるよ」

ココア嫌いだから、ソーダな。

駄菓子を指に挟む仕草が妙に気障なとこもそれらしい。

「ど?」

「いいじゃん」

次はコーラね、厚かましいのは減点だけどな。

5月24日


◆『毎日祝日』

「来月祝日ないの辛い」

「今月多いから余計な」

「作るか」

「何の日?」

「俺の誕生日。倉誕」

「安直」

「俺が産まれた日よ?」

「毎日誰かの誕生日だろうよ」

「なるほど」

「そう」

「つまり労働はくそだと」

「言ってねーわ、同意するけど」

「あー休みたい」

5月26日


◆『もう切れない』

年下の作品に触れて自分の感度が落ちたんだなって思うことあって。呟きに同僚は、落ちた方がいいこともあるよ、ずっと尖ったナイフじゃ傷だらけやん、何気なく応えた。そうか?そうだって。じゃあ触ってもオマエ切れないな、何となく肩へ手を置く。熱い気がした。

5月28日


◆『大丈夫』倉田さん視点

いつまでも走りたいと思わなくなったのは何時だったか。出せる最高速度で、人生を消費することへ執着した頃が懐かしい。でも戻りたくはない。誰かと歩を揃える楽しさを知った今は、無駄を愛してる。なぁ同僚、悪くねぇよ、鈍くなるのも。肩の手へ再度呼びかけた。

5月30日



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