第12話

「…………それは本当ですか?」


 リアムの事情説明に冒険者達の顔色が暗くなる。


 それもそうで、王城の城内でそういう事・・・・・が繰り広げられている事に戸惑う。


 しかし、冒険者のリーダーをやっているヘイムから衝撃的な言葉が放たれた。


「実は俺達はその事で、冒険者ギルドから秘密裏に依頼されている。どうやら王城が怪しいと」


「ヘイム!?」


「こちらの方々は信用出来ると思う」


 機密情報をあっさりと告げるリーダーに溜息を吐くメンバー。


 だが、長年冒険者を勤め、彼らを率いて最前線でリーダーをやってこれたヘイムの人を見る目は確かである。


「ヘイムさん。その件を詳しく教えて貰えますか?」


「ええ。どうやら王城内で反乱が起きたと噂があります。審議を試したいのですが、王城に入る事が出来ずにいたところなんです」


「反乱…………マシュー王子…………」


 そう呟くと、全員が納得したように頷く。


 黒い噂の中心人物は他でもないマシュー第三王子なのだから。


「三人ともこれから冒険者ギルドに来て貰えますか?」


 ヘイムの提案を承諾し、エリシア達は王都の冒険者ギルドに向かう事となった。




 ◇




 王都は相変わらずの賑わいを見せている。


 まるで何も起きてないと言わんばかりに。


 冒険者ギルドに着いたエリシア達はギルドマスターであるルインの部屋に集まった。


「っ!? あ、貴方様は!」


「ルイン殿」


 目には大きな涙を浮かべたルインが、リアムの前に跪く。


 その姿に驚くヘイム達も只事ではないと勘づき、同じく跪くがまだ何が起こっているのか分からない顔だ。


「顔を上げてください。俺はもう王子ではないのだから」


「いえ! リアム様こそが王となるべきお方です!」

 

 その声にヘイム達の顔が驚きから焦りに変わる。


 特にリアム王子に平手打ちをした彼女が顔が真っ青に染まる。


「俺の甘さがあの子を止められなかった…………王子の資格などありません」

 

 その時。


 誰もが予想してなかった声が響く。




「違います!」




 その場にいた全員が声の持ち主である――――エリシアに注目する。




「私も最初は嘆いてました。でもそれでは何も始まりません。私があの家の屋根裏部屋に閉じ込めら時、そのから一歩踏み出す勇気を出さなければ、ここに入る事は出来なかったでしょう。リアムさんとも会えなかったと思います。でも私は諦めなかった。だからマリーもリアムさんも自分も助ける事が出来ました。リアムさん。遅いって事はありません。ここから踏み出す勇気があれば、きっとやり直せます」




 その言葉にリアムはどこか救われた気がした。


 彼女に助けられた命。


 全て終わったと思っていたはずなのに、彼女を守りたいという想いが溢れてくる。


「エリシア嬢…………ありがとう。この言葉、心に刻み歩き出してみせる」


「ええ。リアムさんなら必ず出来ます!」


 窓から差し込む一筋の光が、二人をを祝うかのように照らした。

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