第91話 vsチーター②

 莉央が敵に揺動を仕掛ける。

敵の集中が一瞬、俺から莉央に移る。


 俺への銃撃が止まった。


「ありがとよ」


 スナイパーライフルで頭を撃ち抜く。

一人は確キルまで持って行った。


「もう一人……」


 再びスナイパーを構え、弾丸を飛ばす。


「よっし、やったやった」

『ナイスです』


 敵のゴースティングパーティは全滅した。


「莉央の陽動のおかげだ。とりあえず、もう合流しよう。そっち行くわ」

『了解です』


 俺はスナイパーからアサルトに切り替えて、莉央と合流する。


《ゴースティングしてもこの二人には勝てないのかよw w 》

《恥晒してて草》

《チーターざまぁ》

《強すぎて笑うしかない》


 コメント欄が盛り上がっている。

目で追えないほどの速さでコメントが流れていく。


 同時接続者数もいつの間にか8万人を超えている。


「にしても、これからはゴースティング対策しなきゃだよね」

『そうだね。そのほうがいいかも』


 俺たちはそんな話をしながら、残りのプレイヤーを索敵していく。

そろそろ、最終エリアに入る。


「いた。330の岩裏」

『了解』

「あれで最後だね。俺、回り込むわ」


 俺と莉央で左右から回り込む。

まだ、こちらには気づいていないようである。


《champion》


 画面に表示される。


「ナイスー」

『お疲れ様でしたー』


 無事に勝利することができた。


 そして、配信も終了する。

今日はチーターというトラブルはあったが、配信としては大成功だったろう。


「じゃあ、莉央もお疲れ。次の配信までにゴースティングの対策しとくわ」

『うん、お疲れ様。私もやっておく』

「了解、じゃあまた」


 

 ♢



 翌日、俺は昨日のアーカイブを確認する為に配信サイトを立ち上げる。


「おお、回ってるな」


 昨日の配信のアーカイブは130万回再生。

さらに、切り抜きでも拡散されている。


 俺たちがゴースティングを倒している瞬間のshort動画は330万回再生を超えている。

やはり、short動画というコンテンツは強いなと感じる。


 おかげ様でチャンネル登録者も急激に伸び続けている。


「切り抜きありがたい限りだな」


 最近になって、俺たちのことを切り抜いてくれる人たちが増えた。

それによって、本来届かなかった層にまで俺と莉央が認識されてきている。


「これは、本当にあるかもな。影響力ランキング」


 莉央の活躍からして、莉央のランキング上位はほぼ確実と言っていい。

日本のトレンドには大きく影響をもたらしている。


「俺は、莉央のおまけみたいなもんだからな……」


 この時、俺はまだ分かっていなかった。

自分が、世間にどれだけの影響をもたらしているのかを。

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