第45話 大会直前インタビュー
まずは、公式の方で準備された質問から始まっていく。
「まず、お二人は世界大会と日本大会で優勝されていますが、今回はなぜソロではなく、デュオ部門での出場となったのでしょう?」
俺も莉央もソロ部門での優勝経験者である。
次の大会に出るとしても、ソロ部門だと思われていただろう。
「新しいことに挑戦したいと思ったからですかね」
「私もそうです。それに、takamoriさんとならデュオをやってみたいと思ったんです」
デュオでプロホプルをプレイする場合に大切になって来るのは、お互いの信頼関係である。
ソロでの立ち回りと、デュオでの立ち回りは根本的に違ってくる。
どちらかが強ければいいという問題ではない。
「お二人の出会いはやはり大会で?」
「いえ、違います。僕たちは同じ大会には出ていないんです」
「私からコラボしたいってtakamoriさんにお願いしたんです」
俺と莉央の初対面は、コラボ前の顔合わせだった。
俺は第4回のプロホプル日本大会と世界大会で優勝した。
莉央が優勝したのは、その翌年の第5回の大会である。
俺は、第5回の大会には出場していない。
大会で顔を合わせたことはないのである。
「今回の大会で、お二人が注目している方はいますか?」
その問いに、俺たちは思考をめぐらす。
その中で俺はある人物を思い出す。
「僕は桜田凛花さんでしょうか」
今、最も勢いがあるといってもいいVtuber、桜田凛花も今回の大会には出場が決定している。
凛花もゲームの腕を見たら、プロにだって十分に対抗できるはずだ。
「凛花さんというと、今話題のVtuberさんですね。takamoriさんが注目するほどの実力なんですか?」
「そうですね。僕は一度彼女ともデュオをやりましたが、彼女の腕は確かだと思いますよ。正直、接近戦には持ち込みたくない相手ですね」
凛花は接近戦が抜群に上手いと感じた。
正面切って撃ち合ったら、勝てると断言はできなかった。
莉央なら打ち合えるだろうが、遠距離を得意とする俺には分が悪い。
「莉央さんはいかがですか?」
「うーん、私は逢坂のあさんでしょうか」
逢坂のあ、凛花の相方で人気のVtuberである。
彼女は遠距離の狙撃が得意なタイプだと、プレイ動画を見ていたら分った。
「なるほど、お二人はそのVtuberペアが一番の注目株だと」
「そうですね。予想順位も2位でしたし」
逢坂のあと桜田凛花のペアは、俺たちに続いて予想順位は2位だった。
世間からもその実力は認められているということである。
今大会が初出場ということも、注目されている要因なのだろう。
「では、最後に今大会の意気込みをお二人からお願いします」
「莉央と大会の立ち回りなどは相談してきたので、楽しんで大会に臨みたいと思いますが、出るからには優勝を目指しますよ」
「私もです! ゲームは楽しんでやるものです。でも、今回はtakamoriさんと出る初の大会なので、優勝めざして頑張ります!」
そう言うと、コメント欄は沸いた。
【神プレイ期待してるぞ】
【優勝したら付き合ってくれって言わなくていいんですか?wwww】
【もう、付き合っちゃえよ】
「私も、お二人のプレイ、期待してます。頑張ってください!」
時間にしたら三十分と少しだったと思う。
大会前インタビューは終了した。
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