第31話 時空の覇者

魔on、『刻忘れの森』。


破壊神シュノリンの破壊光線。


それはこの世の殆どのものを、消滅させてしまう恐ろしいものだった。

ただし、生物に害はなく、直撃しても死ぬことはない。

だが、そのせいで魔onプレイヤーらは、装備していたすべてを失っていた。


その上、森には至る所に温泉水が浸食している。

ここはもう、異様な熱気と湿度に支配された巨大な温泉ゾーンと化していた。


そんな状況の中の、猫娘ノヴェトと猫娘リゼット、そして兎娘ロザリー。

3人の前には、女神兵団72神将の3人の男たちが立ちはだかる。


……なお、ここにいる全員が全裸である。


「たった3人……、と言いたいところだが……。」


「ふははは……っ!!成敗してくれよう、『少年殺しのノヴェト』よ!!」


「誤解を生むから、そのおかしな二つ名はやめてくれ……。」


「よぉし、よぉーし。成敗してやるから、ジッとしておけよ?うひひひ……。」


女神兵団の男たちは、両手を前に出し、いやらしく指を動かす。

現在、ノヴェトら3人は女性のアバターである。

彼らのいやらしい目付きが、何をしようとしているのかは明らかだった。


ロザリーとリゼットは両手で身体を隠しながら、男たちを睨みつける。


「くっ!?アバターとは言え、あんなゴロツキどもに遅れをとるなどっ!?」


「絶対イヤにゃん!!こうなったら全員、股間を削ぎ落としてやるにゃ!!」


ノヴェトらは劣勢だった。


なぜなら、男共は隠す気もなく、最初から全開に見えている。

それに引き換えノヴェトら女性陣は、両手で身体を隠している。

これでは、まともに戦えない。


「くそっ!どうすれば……って、ん?待てよ。俺、従者召喚すれば……。」


ノヴェトは『死霊使いネクロマンサー』だ。


死者を使役でき、死者の召喚もできる。

ただし、同レベル帯のプレイヤーよりも弱い。

そのため、対プレイヤー戦ではあまり戦力にならない。

……だが今は、相手もロクに装備を持っていないのだ。


ノヴェトはメニューを操作し、叫ぶ。


「来い!鎌次郎!!」


ノヴェトの前に、大鎌を持った骸骨が召喚された。


「……うわあっ!?なんだそれ、ズルいぞぉ!?」


空前のジョブモンコフーは狼狽える。


手をワキワキさせながら迫っていたが、彼らは下着すらも装備していないのだ。

つまり、ガードなんてできないので、ひたすら避けて逃げるよりほかない。


「いけ!!鎌次郎!!削ぎ落とせ!!」


ノヴェトの号令で、大鎌を担いで走り出す骸骨。

女神兵団の男らを追い回し始めた。

……骸骨は無表情だが、心なしか生き生きしてるように見える。


「わああああああ!!」


「危っ!危っ!!」


明らかに、下半身を執拗に狙う骸骨。

鎌は腰あたりを目掛けて、的確にスイングされる。

男たちはカエルのように、ぴょんぴょん逃げ惑うしかなかった。


「でも、時間稼ぎにしかならんな……。」


その時、ノヴェトの背後で声がする。


「アンタら、そんな格好で何やってんのよ?」


それはアキラだった。


「変態なの!?さすがに、ちょっと引くわ……。まさか、カゲチヨも裸じゃないわよね!?どこよ?どこにいるのよ!?裸のカゲチヨは!?そ、そういうのは、おねーちゃんが先なんだからね!?」


ぐるぐるとあたりを見回すアキラ。

後ろにはリンリンもいる。


だが、彼女らは普通に服を着ていた。


「お、お前ら……、無事だったか。……光線は食らってないのか?」


「え?ア、アンタら、食らったままなの?カバンに替えとか無いわけ……?」


「……っ!?」


思い出したように、ノヴェトはメニューを操作する。

カバンから装備を取り出し、一瞬で装備した。

ロザリーもリゼットも同じように、装備を取り出し装備する。


アキラは呆れたように言う。


「……カバンのこと忘れてたの?……アホ、……なの?」


「……言うな。大人でも傷付くぞ……。俺ら、思ってたよりパニクってたんだなぁ……。」


その間も、女神兵団の3人は骸骨に追われ続けていた。


「……さて、さっさと白黒つけるか。」





ノヴェトは、隣の男に問いかける。


「……で?」


「はい!湯気で見辛いので、ギリギリお互いが見えるくらいまで広がって……。あまり広がり過ぎると、はぐれてしまうので……。」


ハキハキと答える男。


さきほど、女神兵団72神将『空前のジョビモンコフー』と名乗った男だ。

神将で一番弱いと自称しただけあり、本当に弱かった。

そのせいで、舎弟のようになってしまった。


それから魔onプレイヤーらは、全員で協力して捜索した。

だが、カゲチヨやロミタンは、影も形も見つからなかった。


「カゲチヨ……、どこにいるんだ……?」


「あの……、ノヴェトさん?」


「ん?なに?ジョビ……、くん?」


「どうもこの辺らしいです。」


「なに?どれが?」


「えっと……、魔宮の場所です。」


「……何もないが?」


「ええ……。」


すでに夜の闇。

呆然とするプレイヤーたち。


魔宮のあったであろう場所は、それらしい痕跡もなかった。

そこにあるのは、どこまで続くかも分からない温泉湖だけだった。


グッタリと肩を落とすプレイヤーたち。


「……腹減ったな。」


ノヴェトは、温泉水の上に座り込む。

汗だくだし、もはや濡れるとか濡れないとか、どうでも良かった。


そんなノヴェトの様子を見て、ロザリーが声をかける。


「一旦ログアウトして、休憩しましょうか?」


「ああ、ログアウト。……そうだな、それも忘れてたよ。」


カバンの存在を失念し、先ほどまで全裸で行動していたノヴェトら。


急な状況に飲まれ、冷静な判断ができていなかった。

ログアウトも、その忘れていたもののひとつだ。

曲がりなりにもゲームであるなら、一度抜けるのも手だろう。


「カゲチヨもログアウトしてるかもなぁ。……うーんいや、もしもエセ子と一緒なら、こっちに残ってそうだよなぁ。というか、再ログインでここに戻ってこれるんだろうか……?」


「そうですね……。不確定要素が多過ぎて、判断つきませんね……。」


「お腹空いたのにゃん?」


湿気でびちゃびちゃの猫巫女リゼットは、キョトンとした顔をしている。


「うん……、空いたのにゃん。」


ノヴェトは空を見上げながら、にゃん語で応えた。

温泉の熱気と、疲労感で頭がボーッとするのだ。

その上、空腹。


すでに頭の中は、食事のことしか考えられなくなっていた。


「にゃんが作ってあげるのにゃん。」


「そう?ありがとうにゃん。」


ノヴェトは、面倒くさいのでテキトウに相槌を打つ。

すると、リゼットはメニューを操作し始めた。


「……ん?なに?」


「ぐふふふ、じゃーーーん、にゃ!!」


リゼットはメニューのカバンから、それを選択する。

すると、急に巨大な塊が、宙空に出現する。

それは大きな音を立てて地表に落ちる。

そして、温泉水の波濤が周囲のプレイヤーを飲み込んでいく。


「おわっ!?……なっ!?なんだこれは!?」


「にゃん特製の『レンガ風システムキッチン』にゃ!!」


そこに出現したのは、大きなキッチン。

蛇口付きのシンク、コンロやピザ釜のようなものまで付いている。


「おお、すげぇ。……って、なんでこんなのを持ち歩いてんだよ……?」


「うわぁ!!すごいわ!!」


アキラが目をキラキラさせている。


リゼットは胸を張って答える。


「なんでって。いつでも料理できるようににゃんよ?」


ロザリーが補足説明を付け加える。


「リゼットは料理好きなんですよ、こう見えて。魔王軍のアバターですら、料理スキル上げてますからね……。まぁ創作料理はひどいですが……、普通に美味しいものも作れますよ。」


「む!?軽くディスられたにゃん?……ふふふ、そんなことを言ったら、食べさせてあげないにゃんよ?」


「気持ちはありがたいんだけど、俺は現実リアルで食べたいんだよ……。本当にお腹空いてるからさ。」


「ん?こっちでも、普通にご飯食べられるにゃんよ?」


「え?どういう……?」


「たぶん、異界化の影響にゃん。魔onで食べても、現実リアルと同じようにお腹膨れるにゃんよ?しかも、食材や道具も自由に出し入れできるから、魔onの方が色々できるにゃん!!」


「いつの間に……。」


「にゃんは常に間食してるにゃんよ。ずっと何か食べてるにゃん。そう、あの時も……、あの時も……。」


「あ……、なるほど。たまに大人しい時って、それか……。」


「とにかく、みんなににゃんのお料理を振る舞うのにゃん。待っててにゃん!」


「……お、おう。っていうか、それ、水とかガスとか、どうなってんだ?配線的なものを気にしたら負けなんだろうか……。」


「あの水道……。ここの温泉水使ってないですよね……?」


「もしそうなら知りたくないな、その情報は……。」


それから一行は、リゼットの手料理で腹を満たした。


「……大丈夫ですか、ノヴェト様?だから言ったのに……。」


「だって、あれだけ普通の料理は上手いんだし……、うぷっ。なのに創作したら、なんであんな……、ううう……。内蔵の内側から、何かに蝕まれていく気がする……。」


「にゃんの創作料理、美味し過ぎて身体がびっくりしちゃってるにゃん?」


「……びっくりどころか、免疫機能が内乱起こしてるよ……。」


「胃薬とかないッスよ?というか、ここは魔onなんで、毒扱いッスかね……。回復系だと、カゲチヨくんじゃないと……。」


「カゲチヨ……。一体、どこにいるんだ……?」





その頃のカゲチヨとロミタン。


彼らも、何もない温泉の中を歩き続けていた。

陽も落ち、気温も下がっているはずだが、温泉のせいでよく分からない。

熱気と湿度がどんどん体力を奪う。


ロミタンは、前を歩くカゲチヨに問いかける。


「カゲチヨくん……、本当に良いの?」


「あ、はい。ボクは……、前を隠せば良いだけですので……。ロミさんは女性ですし。ボクのことは気にしないでください。」


ロミタンは、『狂信者ファナティック』の初期装備を着ていた。


結局、カゲチヨたちがいた森も、すぐに光線で消滅してしまった。

そして、案の定全裸になったが、カゲチヨはすぐにカバンの存在に気付く。

メニューを操作し、替えの衣服をロミタンへ渡した。


「ボクももう少し、替えの服を持っていれば良かったのですが……。それ、ゲーム開始時の初期装備なんです。そういうの、どうも処分できなくて……。途中で買い替えてたものは、新装備買うのに処分しちゃってて……。」


「よく分からないけど、貴方にとって大事な物なのですね……。それを、私が着てしまっても良いのでしょうか?」


「ああ、いえ。そんな大事なものでも……。何というか、ボクはゲーム自体、あまりやってこなかったもので……。初めて、ノヴェトさんと魔onをプレイした思い出が……、というだけです。それは、その辺のお店で、廉価品として販売されてる程度のものですよ。」


「そういうのを大事な物、……というのですよ。」


「そう……、なんですか?……ただのデータですし。でも、魔onはもう現実と同じですね。そうですか……、大事な物……。」


カゲチヨは、しんみりとロミタンが着ている『狂信者ファナティック』装備を見つめる。


だが、二人がそんな会話をしている時、地響きが起きた。


「うわっ!!」


「ななな、なんです!?」


「う、うわぁ……、こ、これって……。」


二人の目の前には、何も無い。

だが、遠くの方から湯気を切り裂き、何かが向かってくるのが見えた。

暗闇の中で、その姿は鮮明ではないが……。


再び、大きな地響き。


「くっ!?なんなんです!?」


何度か地響きを繰り返した後、巨大な何かが降ってきた。

だが、幸運なことに、それは少し離れた場所に着水した。


だが、その何かのせいで、温泉水の波濤が発生。

それはカゲチヨたちを飲み込む。


「うはっ!?げへっ!!……ゴホッゴホッ!!」


「ぶふっ!!……カゲチヨくん、大丈夫ですか!?」


「ごふっ、……はい。ちょっと飲んじゃいました……。あれは……、あの巨大なのは……っ!?」


「……破壊神様ですね。」


「ええっ!!?あんな大きくなっちゃったんです!!?」


「おそらくは、体内の魔力炉の暴走でしょう。なにかと戦っているようですが……、あっちの巨大なものは一体……?」


ロミタンが見る遥か先には、大きなものが立っていた。

暗闇に立つそれは、破壊神シュノリンと同じくらいのサイズだ。


シュノリンは倒れた状態で上半身を起こし、そのまま破壊光線を発射する。

だが、はるか先のその大きな物体は、素早い動きでそれを回避する。


「あ、あれは一体……?」


「……ああ、良かった。見つけた。カゲチヨきゅん……、ですね?魔onでは犬獣人だとは聞いてたのですが、姿違うと戸惑いますね。」


「え……?」


カゲチヨは呼びかけられた。


それは、魔族女性のジルダとジーナだった。

しかし、全身タイツにヘルメット姿で、カゲチヨはすぐに誰か判別できない。


「迎えにきましたよ、カゲチヨきゅん。もう大丈夫です。」


「え……?どなた……、です?」


戸惑うカゲチヨ。

だが、カゲチヨは、背後からジーナに抱きしめられる。


「わっ!?」


「うひー!カゲチヨきゅん、裸!大胆!!」


「だ、誰なんです!?……あ、あれ?その声は、もしかしてジーナさん!?じゃあ、あっちはジルダさんです!?」


ロミタンも困惑している。


「……えっと?」


「今、破壊神様と戦っておられるのは、魔王様とコジロウです。……あれは『時空の覇者・超破壊神シヴァデュナート・ロボ』です。」


「……え?ロボ?…………ロボ???」


カゲチヨは、何一つ理解できなかった。





ジルダはロミタンを見る。


「あ、そちらは……、ロミタン様ですね。」


「え、ああ……、えっと、あなた……、どちらのタイツさん……?」


「私は魔王軍幹部、ジルダと申します。こっちはジーナです。」


「……ジーナです、どうもッス。」


「はぁ。……って、もしかしてジル坊とジナ坊??ええ??」


「お久しぶりです……、と言っても、私たちは子供の頃なので、記憶も曖昧なのですが……。」


「ああ、そうですよね。こんなに小ちゃかったし……。それにしても随分育ちましたね……。というか、そのピチピチの格好は一体……。」


ロミタンは、二人の胸にあるものを凝視する。


「ああでも、とりあえず今、昔話はあとで……。さぁ、ロミタン様、この腕輪を着けてください。……カゲチヨきゅんも。」


「なんです?これは?」


「それを着けると、あのロボと一体となれるのです。……そして、みんなでシュノリン様をお鎮めしましょう。」


腕輪を受け取るロミタン。

ジルダは説明を続ける。


「シュノリン様がこのまま移動し続けてしまうと、被害がどんどん拡大してしまいます。どの道、この一帯はもう何もありませんので、ここでシュノリン様を足止めし、力をすべて消費させてしまうのです。」


「えっと、何がどういう……?一体となる……?どういう……?」


困惑するロミタン。


「さぁ、ロミさん!!よく分かりませんが、みんなでおばあちゃんを止めましょう!!ロボで戦うのです!!」


すでに腕輪を装着しているカゲチヨ。やる気満々だ。


「えっと、カゲチヨくん?え?……あなた、まるで当然のように状況を飲み込んでますけど……、ちょっと柔軟過ぎじゃないかと。……そもそもロボと一体となるって、意味が分かりませんが……。大体、ロボって何です?あんなの、破壊光線の一撃で消滅しそうですけど……。」


「ええっと……。」


説明に困るジルダ。


だが、ジルダやジーナも現状を理解しているわけではない。

実は、突如始まった巨大神対決で、彼女ら自身も困惑していた。


「ロミさん、今はみんなで一体になって、おばあちゃんを止めましょう!!」


ロボと聞いてからハイテンションのカゲチヨ。

その勢いにロミタンも押される。


「そうですか。よく分かりませんが、カゲチヨくんが言うなら従いましょう。」


ロミタンも腕輪を装着する。


「……で、どうしたら?」


「はい、では、これからこの文言を口に出してください。」


そう言うと、ジルダは紙切れを見せる。

だが、ロミタンは困惑する。


「ええ……、これを言うんですか……?長いですね。ここは自分の名前で良いんです?えっと、『魔王戦隊マレンジャー、逆巻け紅き血潮、弾けろ正義の鉄槌……?これは全員共通です?で、ロミタン!!』……という感じですか?」


「……あ。」


カゲチヨの目の前で、ロミタンが光に包まれる。

……光から現れたのは全身タイツのロミタンだった。

ヘルメットを被っているせいで、もはや誰だか分からない。


「なんか、あれ?……服が変わりましたね。なんです、この変質者みたいな格好は……。ちょっと息苦しいですね。」


「うわぁ、すごいですぅ……。」


「さぁ、カゲチヨきゅんも。」


「ええ!?……ボクも全身タイツになるんですか?」


ロボでテンションの上がっていたカゲチヨ。

だが、全身タイツが思いのほか微妙だった。

そのため、急激に冷静さを取り戻してしまっていた。


だが、ジルダはニッコリ微笑み返事をする。


「はい。なるんですよ?」


「ロボと一体化するためなんですよね?この儀式、本当に必要なんです?」


「……らしいです。作ったのは魔王様とコジロウらしいので、私は……。」


「そう……。」


カゲチヨは意を決して叫ぶ。


「魔王戦隊マレンジャー!!逆巻け紅き……、紅き……、えっとー。」


「ああ、血潮……、ですね。」


「逆巻け紅き血潮、弾けろ正義の鉄槌!!えっと、これは全員共通……。」


「あ、その共通とかはいらないのでー。」


「え!?……えっと、カゲチヨ!!」


「あ、そこでポーズを決めてください、……とのことです。」


「え?ロミさんの時、そんなのなかったですよね?……あ。」


変身が始まるカゲチヨ。

同じように全身タイツにヘルメット姿となる。


「うわぁ……、ボクも変わりました。」


「では、次はえっと……。」


紙を見ながら確認する4人。

手際の悪さに、念のためジルダに確認するロミタン。


「あなたたちは、1度やってるのですよね……?」


「ええ、まぁ。でも、こんなの1回じゃ覚えられないので……。」


「そう……、ね。私も自信ないですね……。」


「で、ここから各人が小さいロボを召喚して……。」


「長いですね……。えっと、小さいロボで善戦して、ピンチを演出。その際、敵を倒さないように注意。これは注意事項?何と戦ってる想定なんです??それから……、えっと?……ってこれ、手順は省略できなのでしょうか……。」


そうこうしている間にも、シヴァデュナートとシュノリンの激戦は続いていた。

またもや波濤がカゲチヨたちを飲み込む。

ずぶ濡れのカゲチヨたち。


ヘルメットの隙間から温泉水が入り込んでくる。

もちろん全身タイツは、もうびちゃびちゃのビタビタだ。


「ゴホッゴホッ……、さっさと終わらせた方が良さそうですね……。」


ロミタンは巨大な二体を見て、拳にグッと力を込めた。

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