第13話
畳敷の試合会場を囲むように観客席が作られていて、広い敷地を四分割にしてある。
試合中、大きな人がぶっ飛んで来て、みんなで支えるという面白いオプション付き。
その時、ふと思ったのだ。
もしかして、小島先輩が飛んで来るかもしれない!その時は、全力で支えなければ!!
ガッツポーズをしていると、団体戦の選手が入って来た。
3年生3人、2年生2人。
小島先輩は、2年生にして既にレギュラーだった。順番は二人目。
私はドキドキしながら一人目の試合を見送り、いよいよ小島先輩の番になった。
一礼をして、赤い紐が付いているのが小島先輩。
相手は、先輩より遥に大きな人。
思わず祈る気持ちで見ていると、試合開始直ぐに小島先輩の面が綺麗に決まった。
誰だよ!吹っ飛んでくるとか思った奴!って、思わず自分自身を叱咤した。
次元が違う。
まるで空気さえも味方に付けているような、流れるような美しい剣道に見惚れてしまう。
(あぁ……。私はやっぱり、この人の剣道が好きだ)
と、そう実感させられた。
そして何故か、女子、男子とも剣道部も一回戦勝ちしてしまい、男子バレー部との試合が被ってしまった。
すると中村さんが
「あのさ……剣道部は私が見るから、男子バレー部に行ってあげて」
って呟いた。
「えぇ!何で?私、剣道部が良い!」
思わず叫んでしまうと
「そっか……。相原さんは、小島先輩が好きなんだもんね。ごめんね、変なお願いして」
そう言われてしまい、気まずくなってしまう。
「じゃあ……私は男子バレー部に行くから、間に合うようならこっちに来てね」
って言われて、すぐに2回戦が始まる剣道部の取材に私は残り、中村さんだけバレー部へと向かった。
気にならないと言ったら嘘になる。
でも、私は目の前の小島先輩を放ってバレー部には行けないと思った。
だって、もし中村さんが言う通り紺野先輩が私に少しでも気があるのだとしたら、気を持たせる事にもなってしまうから。
そう思っていると、すぐに剣道部の2回戦が始まった。
試合を見つめながら
(どうか男子バレー部も勝ちますように)
と、祈り続けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます