第2話 平将門の魂
高松政次とは、都内で連続殺人事件を侵して捕まり、つい先月に死刑が執行された元死刑囚である。
「・・・・・ごめんなさい。これは、どういうことなのでしょうか・・・・・?」
配信者は震えながらも解説を続ける。
商品説明らしきものはなく、商品名と購入ボタンが付いているほかにビンの中に火の玉がある様な写真のみが残っていた。
「他の商品も見てみましょうぅ・・・・・」
気づけば、汗が滝のように零れ落ちていた。
次の商品の名前はこうだった。
『平将門の魂』
ここには、商品名と購入ボタンの他に、説明がついていた。
「えっと・・・・・あぁ、少し読んでみますねぇ・・・・・」
配信者は説明を読み始めた。
「みなさんは、平将門を知っていますか?平将門は平安時代中期の武士です。東国から朝廷に反乱を起こしましたが、敗れ、殺された武士です・・・・・」
なぜ、このような説明がある。なぜこのような説明がいる。その理由は一体何なのか・・・・・。
「その将門の切られた首にまつわる伝説が伝わっています。首が飛んだとか、顔を変えたとか、不気味に笑ったとか、様々な人が呪い殺されていったとか・・・・・。あなたの背後にもいるのかもしれませんね・・・・・嫌ぁっ!!アアッ!!」
思わず叫んでしまったが、背後に寒気がしたからだ。
「今回は大特価です。購入しないと損ですよ損!!」
そこまで読み上げると、マウスカーソルが動いた。
「なんで?動かしてないんですけど、マウスカーソルが動き、購入するボタンが押されてしまいました・・・・・」
いよいよ、怖い。配信を辞めるか?いや、それは少し残念過ぎる。だが、このままも怖い・・・・・。
「買ってみます」
気を取り直して、ついにやってみた。名前、住所、カード番号などの個人情報を入れるところはあとで編集する。
「はい、これで入力終わりました。これは・・・・・怖いですね。推していいっスか?いや、怖い。どうしよ・・・・・」
だが、そんなこと言ってもここで終わるとか視聴者にガッカリされるだけだろう。
「行きます・・・・・」
カチッとマウスの音がした。
『購入が完了しました。商品の到着までしばらくお待ちください』
この大きな赤字の文言が表示された瞬間、心の中の恐怖と喪失感がとんでもないことになってきていた。
「ええ、というわけで、今日の配信はお終いです・・・・・商品の到着を楽しみに待ちましょう・・・・・今日は眠れなくなりそうです。以上、チキチキンでした!」
これで、終わり。
(平将門の魂か・・・・・)
それは、つまり幽霊の魂ということだろうか。どちらにしろ、もう逃げだしたかったが、さらなる登録者アップのためには我慢するしかない。
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