第4話
ミルアと出会ってから約2週間ちょっと経った。
今日までは特にこれといった出来事も無く、ただ鍛錬したらゴールド冒険者として依頼を受けたりしたり…ミルアと出会と前と同じような生活を繰り返していた。
あっ、一つ違うことはあった。それはミルアが冒険者登録したことだ。しかも早いことにもう
と、まぁ…簡単に説明したらこんな感じだ。今日も今までと同じような事をする筈だったが、今日は違った。
いつものように冒険者組合の建物へと行き、何か依頼がないかな?と探していたら――ミルアも居る。当たり前のように居る――一人の冒険者が慌てた様子で入ってきた。
「竜だ!竜が現れた!!」
その一言に建物内に居る冒険者がざわめいた。かくいう僕も心の中では動揺していた。
竜、龍とは違うぞ。簡単に説明すると龍の下位互換だ…しかし、下位互換と言えど成長し進化すれば龍へとなる。もっと詳しく説明するなら、竜には幼生竜と普通の竜の二種類が存在している。
前者の幼生竜は生まれてから約30年の子竜だ。しかし、子竜だからといって侮ってはいけない。その動きは速く、その鱗は固く、その爪、牙は鋭く…いままで何百、何千…過去を遡れば何万人ものの冒険者の命を奪ってきた存在だ。
そんな子竜が更に30年の時を経たのが普通の竜。これが竜と言われている。その強さは子竜の3倍以上。街、国の周囲で見かけただけで討伐隊が即座に編成されるレベルだ。
では、ここまで来ると龍はなんなのか?これは竜が進化をして知性を持った存在だ。龍は基本的には人を襲わない。しかし、龍といえど自身が誰かに襲われれば襲う、当たり前の話だ。その強さは未知数。
長く生きている龍ほど強い。そのため龍を見かけたら何もするな、即座に逃げろが常識だ。
ちなみに竜と龍とでは見た目に大きな差があるため区別がつかない、なんてことはない。
「落ち着け、ゆっくり、何があったのか話せ」
「っ!サブギルマス」
サブギルマス、このギルドで2番目に偉い人だ。…あくまで表向きで実際は一番偉い人。ギルマスは…基本的に働かない。そのため、サブギルマスに全ての仕事が回ってきて結果、サブギルマスが一番凄くて偉いって感じになってる。ちなみに男性、年齢は30後半、名前はヴィルバーだ。
「あ、俺達…パーティで東にある森にインビジブルウルフを倒しに行ったんです。それで、ある程度インビジブルウルフを倒したあと、休憩のために近くにあった湖で休息を取っていたら急に周りが暗くなって、上を見たら竜が居たんです…幸いにも、俺達が倒したインビジブルウルフに興味を示して、それを食べている間に俺達は逃げてきたんです。パーティで一番足が速いのは俺なので、こうして情報を伝えるために走ってきました…仲間もあとで来ると思います」
「そうか、竜の大きさはどれくらいだった?」
「一瞬しか見てないので正確には覚えてはないですが…この建物よりは小さかった筈です」
恐らく幼生竜だろう。この建物は二階建てだ、それより大きい竜は幼生竜に当てはまらない。…普通の竜じゃなくて良かった。
「そうか、恐らく幼生竜なのだろう。よくやった、奥で休んでるといい。仲間も来たら同じように休めと言っておいてくれ」
「わ、分かりました」
「よし…全員話は聞いたな!まだこの街に害を及ぼしてないが幼生竜は危険だ!命が惜しいものは逃げても構わない!なにせ竜が相手なのだからな、誰も責めはしないだろう!」
サブギルマスが息を大きく吸う。
「緊急依頼だ!!今すぐ装備を整えられるやつは来い!森の湖に現れた幼生竜を退ける、もしくは倒す!勇気あるものは集え!5分後に出発だ!」
そう言い放ったあと、建物内にいる冒険者が大きく動き出す。ある者は装備をつけ、ある者は近くの冒険者と話し合い、ある者は周りに一言謝ってから建物から出ていく。バラバラだ。
「…レオ、どうする?」
「もちろん行くさ。大切な街だしね、それに幼生竜が相手なんて滅多にないからね。戦いたい」
「なるほど、私の夫が戦闘好き、戦闘狂、変人だと知ることが出来た」
「違うからね!?」
「違わない、幼生竜相手に戦いたいなんて言う人は…そうそういない」
「そうかもしれないけど戦闘好きじゃないからね?」
「冗談。……かも。コホン、私も行く」
「かも!?ちゃんと冗談って言って?」
「私も行くから」
「無視!……ミルアには危険だよ」
「誰だって危険」
「それはそうだけど…危険なことはしないでね?」
「うん、しない」
大丈夫かな?いざとなったら身を挺してでも守ろう。
幼生竜…戦うのは初めてだ。…倒さなくていい、どこかに逃げさせればそれでいいんだ。
よし、僕も本気を出そう。微力ながら…ね。
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次は6月23日です。
プロセカ、神のまにまにという"神"曲のマスターフルコンようやく出来ました。平凡人には中々大変でした
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