骸骨成長記録〜世界最恐の魔物になるまで〜
Leiren Storathijs
プロローグ
人間は魔物より遥かに強く、頭も良い。
人間は魔物より行動力があり、文明レベルも高い。
人間は魔物より数は少ないが、強さの練度が違う。
小さな町や村を狙い、何度も人間の拠点を魔物の大軍で滅ぼしたが、人間の精神力は数度滅ぼされただけでは壊れることは無い。
何度も何度でも再興する。
その内、気がつけば魔王軍は人間より少なく、弱くなっていた。
繁殖して増やすのも手だが、魔物の知能ではいくら増やしても限界が見え、魔王の力で作っても最初から強い魔物は生まれない。
一歩ずつ魔王軍は敗北の道を歩いていた。
衰退し滅亡の道を歩いていた。
そんな極限状態に陥っていく魔王は、一つの苦渋の決断を下す。
今からでも遅くはない。
魔王の権限『魔王の烙印』を使って、最弱の魔物を最強まで育てようと。
魔王の烙印とは言葉そのままの意味で、使った対象を『魔王』にたらしめるもの。
使われた対象は"死の概念"が無くなり、身体の再生能力や魂の消滅があった時、一時的に『封印』状態となり、封印前の力を時間と共に引き継ぎ、引き継ぎが終われば、"覚醒"し"転生"する。
一見最弱の魔物にこれを付与すれば、最強になるまでただ時間が解決してくれるものだと見える。
しかしこれは呪いの一種でもあり、決して死ぬことはなく、世界が滅びるまで永遠の刻を過ごすものなのである。
魔物には死への渇望や恐怖など基本無いに等しいが、魔王は違った。
もうすぐ人間によって完全制圧されるだろう時が近づいても尚、魔王は何度でも人間の前に復活し続け、その先は永遠の封印と覚醒を繰り返すだけの人生となるからだ。
魔王はただこれが部下の重荷にならないだろうかと考え、苦渋の決断を下した。
その最弱の魔物に人間を滅ぼすことを託すのだった。
「出でよ。死者の亡骸よ。お前に"魔王の烙印"を与えん。これで我が宿敵、人間を蹂躙せよ。お前の名は……人間にでも名付けて貰え」
「カタカタカタ」
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