第7話
「ふっ、ははは!そう構えずとも良い。どうか、その衛兵を開放してはくれぬか。」
王は左手の剣を床に置くと両手を前に広げ、友好な姿勢を示した。
「あぁ、これ、ニセモノさ。」
ロイヤルが指を慣らすと、窓に映る衛兵は跡形もなく消えた。
まだ安心しきっていないロイヤルは、アイスから肌を離さなかった。
「久しいな。ロイヤルよ。」
「あぁ、久しぶい、にしても、歓迎が手厚すぎるんじゃないか?」
「なぁに、余興よ。恩のあるロイヤルに感謝することはあれど、訳も聞かず切り捨てるなど…」
「軍の事は怒っていないのかい?」
「我が国では軍事政権が進行してしまってな。如何せん悩んでいたのだ。無論、消すことはたやすいが、それでは抜本的な解決にはならない。」
「なるほどねぇ。」
「さらに、兵士の多くが生存しているらしいではないか。軍の再建も容易いだろう。」
「だってさ、アイスちゃん。」
「え?」
「ふふっ、何でもないよ。」
それを見ていたデスムス王は不思議そうにアイスを見つめる。
「その娘は一体…」
「あぁ、この子はアイスちゃん。所謂、管理者だ。僕の懐中時計が告げている。」
「むぅ、なるほどな…それで、ティオの位置が知りたくて来たのか?」
「ご名答!」
ロイヤルは一国の主たるデスムス王に向ける思えない態度で返答をする。
デスムス王はいそいそと懐から地図を出し、一点を指し示した。
その指はここから南西に十キロメートル離れた草原を差していた。
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