257話 プラムの冒険




 レイジたちが竜の国においてトラブルを抱えている頃、アルドラゴに残った居残り組にもちょっとした事件が起こっていた。


 此処は、アルドラゴ内のメカニックルーム……通称スミス工房である。

 その深部には、広大なハンガーデッキ(よくロボ系アニメ等で整備中のロボットが格納されているシーンがあると思うが、そのようなもの)がある。


 今、ルークとその師匠である月影の目の前には12基の巨大なカプセル状のポッドが置かれ、その中にはこれまで自分たちが月日を重ねて作り上げてきたゴゥレムがあった。

 尤も、《アリエス》、《レオ》、《ジェミニ》、《リーブラ》、《サジタリアス》はレイジたちと共に竜王国に行ってしまっているし、《カプリコーン》に関しては現在ヴィオの元にある。

 よって、此処にあるのは《タウラス》、《キャンサー》、《スコーピオ》、《ビスケス》。更に新型の《アクエリウス》だけとなっていた。

 半分以上が無いというのは寂しいので、現状はホログラムを浮かび上がらせることで誤魔化している。


 とは言え、地道に作ってきたゴゥレムがこれだけ揃う光景を見ると、やはり壮観であると言える。


 ただ、その中で唯一、中が空のままのポッドがある。


 《ヴァルゴ》


 処女宮の名を与えられた最後のゴゥレム。


 ほぼ全てのゴゥレムが完成した中で、このゴゥレムだけがまだ未開発だったのだ。


 留守番扱いであるルークにとって、この《ヴァルゴ》開発が目下の悩みどころであった。


『うーん。どーしたもんかなぁ』


『《ヴァルゴ》のコンセプト……ですか』


 空のポッドを前にして、ルークと月影は共に首を傾げていた。


 レイジは軽く「何かアイディアがあったら好きに作っていいよ」と言ったのであるが、元々彼らAIにとって何かを真似るという行為は得意であっても、一から何かを生み出すという行為は不得意……というか、未経験の事であった。

 よって、何から始めたらいいのかさっぱり分からないのが現状である。


 処女宮……つまり乙女座。

 何せ、他の黄道十二星座と違って乙女座というどう表現していいのか分からない星座だ。

 牡牛座や獅子座のように分かりやすいとっかかりが無い。


 果たしてどうしたものか……。 


 そうやって、ルークと月影の師弟コンビは共に首を傾げて悩んでいた時の事だった。




『おい! お前ら、大変だッ!』


 突然飛び込んできたのは、黒金・スミスことテツと今や馴染み深いものとなったアンドロイド姿となった黄金ゴルド・スミスであった。

 彼らがこんなに慌てるなど、余程のことがあったに違いない。


『ど、どうしたのおっちゃん! まさか、リーダーたちに何か―――』


『プ、プラムが居ない!』


『……ほへ?』


 プラムはアルドラゴの新クルーであり、この艦内では少数派である生身の肉体を持つドワーフの少女だ。

 普段はスミス・ファミリーの一員として活動し、与えられた自室があるものの、このメカニックルームがほぼ居住地となっている。


『朝から姿が見えないなーとは思っていたんだが、いい加減変だと思って艦内を捜索したんだ』


『だが、何処にも姿が見えない。アルドラゴ内部には居ないと推測される!』


 ずずいと目前に迫る親子を慌てて手で制する。


『あぁ~~ちょ、ちょっと待ってね』


 即座にルークはアルドラゴのコンピューターに接続し、艦内の生体エネルギーの探知を開始した。

 そもそも、今現在アルドラゴには生身の肉体を持つのがプラムだけなので、探知に引っかかればそれはプラムで間違いない。

 ……筈なのだが……。


『探知に引っかからない。これってマジで……』


『アルドラゴ内部にはプラムは居ないと考えるのが正しいですね』


 ルークと月影の言葉にスミスたちは分かりやすく狼狽えた。


『うおおーッ、アイツ何処に消えたんだ! 早速捜索隊を結成して―――』


『ちょい待ち、おっちゃん。リーダーたちが竜王国に行ってから、この艦のハッチは一度も起動していないよ』


 その辺の情報は、アルドラゴのコンピューターに接続すればすぐに判明する。

 ルークの言葉にスミスは縋りつくように顔を向ける。


『と、という事はどういう事なんだ?』


 すっかり実家に遊びに来た孫が居なくなった状態のスミスを宥めながら、ルークはある結論を下す。


『考えられるのは、生体反応センサーの故障でプラムはまだ艦内に居る。……これはまずあり得ないけど、確率としては5%。

 更に、リーダーたちが外に出た僅かなタイミングで外に出てしまって、今も島の中を彷徨っている。……これも、アルドラゴの周囲2キロ圏内にプラムの生体反応が感知できないから、ほぼ無い。でも、故障している可能性もあるから同じく確率としては5%。

 そんで……』


『そ、そんで……?』


『一番可能性が高いのが、《リーブラ》内部に隠れていて、リーダーたちと一緒に竜王国にいっちゃったってところかなぁ』



 これが90%。




◆◆◆




 一方、こちらはレイジたちが向かった竜王国。


 彼らがゲイルの生家(正確には違う)にて、あーでもないこーでもないと議論を交わしている中、自分には興味のない話し合いに飽きた謎の竜族ことロゼであるが、一人家の外に出ていた。

 彼女にしてみれば、完全に気配を消して抜け出す事など、容易なことであった。


 ……つまらない。


 全てがつまらなく、彼女は感じている。


 やろうと思えば大抵の事はこなせる彼女であっても、どうにも出来ないことはある。


 それが、この世界に蔓延する……このにおいだ。


 別に耐えられない訳でもないし、やろうと思えば嗅覚を遮断することだってできる。


 だというのに、やらないのはただ面倒くさいという理由だけ。


 どうせ、この世界に居るのも後僅かな時間だけだ。

 そう思えば、気持ちも楽になるというもの。


 それだけに、嫌な臭いのしないゲイルとレイジとの出会いは、久しぶりにロゼを上機嫌にさせるものだった。

 いや、それだけでなく彼の仲間たちからもこの世界特有の嫌な臭いがしない。……唯一、あの竜族っぽい魔術師の男くらいか。

 それだけに、彼らの元から離れなければならないというのが辛い。


 仕方ない。

 仕方ないのだ。


 こちらにも義理というものがあって、引き受けた以上はやらなければならない仕事というものがある。


 ……嫌だけど。


 そんなローテンションの中、ふと漂ってきたにおいにロゼは鼻をひくつかせる。


(あのレイジともゲイルとも違う匂い……)


 ガサガサと蠢く茂みをかき分け、ロゼはその匂いの持ち主に遭遇した。


「………ん?」


 ……小さい。

 非常に小さい生物だった。


 生物はきょろきょろと辺りを見渡し、やがてぼんやりと見ていたロゼを発見する。


「………う」


「う?」


「うぎゃあぁぁぁっ!?」


 小さな生物……こと、アルドラゴの新クルー…プラムの絶叫が響き渡る。


 さて、ここで説明しよう。


 何故、ロゼの姿を見たプラムが絶叫したのか。


 一つ目の理由。

 ご存じの通り、プラムはこっそりと《リーブラ》内部に潜り込んだ。それは、スミスたちよりこれまでのレイジたちの冒険の数々を聞き込み、自分も大冒険をしてみたい! と、意気込んだ故の行動である。

 しかし、時間が経過して、いい加減狭い車内に隠れ忍んでいるのが限界に達したため、そろそろと外の空気を吸うために出てきたところであった。


 が、ここで気付く。

 黙ってついてきたは良いが、これがばれたら怒られるのではないか。


 全然愛情も無いヤツに怒鳴られたりするのは慣れているので平気だが、親しい人に同じように怒られたら……冷たい言葉をぶつけられたら……想像するだけでプラムは悲しい気持ちになった。

 ならば、無かったことにしよう。

 このまま黙って《リーブラ》内部に引きこもっていよう。


 そう決断したプラムは、そそくさと《リーブラ》に戻ろうとした。


 が、間の悪い事にそこで人の声が聞こえてきた。


 見つかったらマズい!


 そう判断したプラムは、ここが何処かも分からないのに、《リーブラ》を離れてゲイル生家の近くにある森の中へと入り込んでしまったのだった。


 その森の中で迷いに迷ったプラムは、不安を感じて辺りをきょろきょろと見渡す。

 幸い、竜王国には魔獣の存在は確認されていないため、森の中で危険な目に遭う事は無かったが、慣れない森林ウォークによってプラムの身体はくたくたであった。


 だが、ふとプラムの鼻が奇妙な匂いを感じ取った。


 それは、プラムは知識として知る事が無かったが、硫黄の匂いだった。

 加えて水が流れる音。


 水がある。


 それを感じ取ったプラムは、ふらふらとその匂いのする方向へ歩を進め、やがて開けた場所にたどり着いた。


 それは、岩場だった。

 その中心に、水が溜まった場所……つまり、池がある。


 池には違いないが、何処か変だ。


 何というか、色は白く濁っていて、何やら湯気のようなものが立ち上がっている。


 ひょっとして、お湯なのかな?



 またしてもプラムは知る事が無かったが、それは温泉と呼ばれるものだった。

 勿論、人の手によって管理されたものではなく、天然の温泉である。


 そうとは知らずプラムは近づくのだが、そこで発見としてしまった。


 自分以外に誰かいる。


 まさか、レイジたちやアルドラゴのクルー?


 その人物をはっきりと司会に収めた途端―――


「うぎゃあぁぁぁっ!?」

 

 小さな口より絶叫が迸った。





 プラムが絶叫した理由……ロゼの肉体を見てしまった為だ。


 此処は天然の温泉……であるから、そこの湯に浸かっていたロゼは、当然ながら裸身……すっぽんぽんである。

 身長は約2.1メートルとかなりの長身であり、側頭部から角は突き出ているが、それだけで絶叫する理由にはなり得ない。

 やや肩幅は大きいものの、胸は大きく突き出ていて、ウエストもヒップラインも筋肉質ではあるが見惚れるほどに引き締まっている。

 原因は、その下だ。

 そこには、プラムの現実ではあり得ないものがあった。


 つまり、生物学的な観点で、男性を示す"アレ"だ。


 ロゼの上半身は、確実に女性であることを示しているのに、下半身は男性である事を示していた。


 なんだこの生物は!?


 美しい顔立ちに美しい肉体。

 此処に芸術家がいれば、歓喜のあまりに涙を流したかもしれないが、プラムの精神は残念なことに幼過ぎた。

 そして、彼女が異性のアレを間近で見たのは、実はこれが初めての事だった。


 ダァト出身ではあるが、幼過ぎる外見という事もあって、その手の役割をこなす事は無かったし、また特殊な性癖を持つ顧客に遭遇する事も無かった。

 それは不幸中の幸いと言えよう。

 アルドラゴのクルーとなってからも、周りの異性どもはアンドロイドかロボットばかり。唯一の生身の人間である艦長のレイジとは、そこまで深い接点も無い。


 決してグロテスクという訳でもないが、とにかく生まれて初めてアレを直視したのだ。


 プラムの精神はパニック状態となり、絶叫のあとにわんわんと泣き出した。


 その惨状に戸惑ったのはロゼである。


「わ! わ! わ! 流石にこの状況に対する経験が無いぞ! ど、どうしたらいいのかな」


 あわあわと狼狽えた後、そうだとばかりに手をたたいた。


「え、えーと……ねーんねーん、ころりーよ……」


 それは寝かしつける時の子守歌だ!

 それよりなにより、まずは服を着ろ!!


 ……と、突っ込むことの出来る人材が、この場に居なかった。





 ………

 ……

 …




 

「ふ、ふぅ……ようやく落ち着いたか」


 目の前で恨めしい顔つきのまま桃を頬張るプラムを見て、ロゼ(服は着てない)はようやく一息ついた。


 ちなみにプラムを泣き止ませた手段は、食べ物による餌付けであった。


 突然髪の中に手を突っ込み、取り出したと思ったらその手には一つの桃が握られていた。


 それを恐る恐るプラムの前に突き出すと、お腹の減っていたプラムは泣きながらその桃を奪い取ってむしゃむしゃと食べ始める。

 その間に、涙も出なくなっていった。


「で、お前は何なのだ? お前からも良い匂いがするが」


 レイジやゲイルにやったように、くんかくんかと超接近して匂いを嗅ぎたい衝動に駆られるが、我慢する。

 いくら勝手気ままフリーダムに動くロゼという存在であっても、また幼子を泣かしてはたまらないという良識はあった。……良識と言っていいのかは微妙だが。


「あ……あぁ……うー。……それが……」


 ふと、プラムの身体が硬直した。


 今、自分は何を言った?


 いや、自分は今、喋ったのか?


「わ……わたしは……プラム……」



「ほう、プラムか」



 ロゼは単なる自己紹介のために名乗ったのだと思ったが、その言葉はプラムにとって大きなものだった。

 そう。

 彼女はそれまで、言葉を発する事が出来なかったから。


「プラム、プラム、プラム……。

 艦長さん、アルカさん、フェイさん、ルーク兄、月影さん、日輪さん、烈火さん、吹雪、テツ、おじーちゃん……」


 と、アルドラゴの現時点でのクルーたちの名前を挙げていく。

 その様子を不思議に思いながらロゼは眺めていたのだが……


 その目じりに溜まっていく涙を見て、またしても危機感を感じた。


「……うあ……うあぁぁぁーー。うあーーー」


「ひいっ! ちびっ子がまた泣いたぁっ!」


 慌てふためくロゼであったが、プラムが流した涙は先ほどとは違う。

 今まで、喋りたくても喋られなかった。

 呼びたくても呼べなかった恩人たちの名前が、自分の口から出たのだ。


 様々な感情が混濁しているが、芯にあるのは嬉しさという感情だった。





 ………

 ……

 …





「ほーん、なるほど。今まで口を利くことが出来なかった訳か」


 コクコクと頷くプラム。

 喋られるようにはなっても、喋りなれてないので上手く口が回らない。

 それに、初めて会う存在と出来ることなら喋りたくないという素直な気持ちもあった。


「となると、原因はこれかなぁ」


 と、ロゼが取り出したのは、先ほどプラムがかじっていた桃である。


「う~ん。仙桃せんとうをあげたのが悪かったかなぁ」


「……せんとう?」


 意味が解らず首を傾げるプラム。


「うむ。ボクの故郷……仙界でのみ育つ木に実る桃でな。一口かじれば、不老不死の力が得られるという触れ込みだ」


「センカイ? ふろう……ふし……それってひょっとして、年とらない、死なないって意味?」


「おお! ちびっ子なのによくわかるな。その通りだ」


「それを食べたら、歳とらないし、死なないの?」


「うむ」


 その言葉を聞き、プラムの顔色が一瞬にして真っ青になった。


 食べた。


 目の前に出されたから、お腹が減っていたので食べた。


 不老不死になる桃を食べた。


「う……うあ―――」


「ああ! 待った待った! 泣くの待った! もう仙界から離れて結構経つから、不老不死の効力切れている筈だから! ……多分」


 ロゼの焦った言葉に涙は止まったものの、最後の多分という言葉のせいで信用できない。

 プラム自身、正確な年齢は分からないが、恐らくは10歳程度。それなのに、以後の人生は不老不死ですと言われても困るのだ。

 せめて大人になりたい。


 ロゼも自分の言葉が信用されていないことに気づき、自身も桃をかじってテイスティングしてみる。


「ふむ。やはり込められた魔力が薄い。今残っているのは、肉体活性化と万能薬としての力ぐらいか」


「ばんのーやく?」


「うむ。傷を癒すのではなく、肉体を正常なものに修復するというものだ。ちびっ子は、ずっと前にはきちんと喋る事が出来たのだろう。だとするならば、それが正常というものだ。良かったではないか」


 もし、此処に他の第三者が居たとしたら一体どんな事を考えただろう。


 肉体を正常な状態に戻す万能薬。

 この世界風な言い方で表すならば、エリクサーである。


 これは、伝承のみに伝わっている伝説のアイテムで、あらゆる傷と病を治す事が出来るらしい。

 それこそ、不治の病と言われた病気であっても、肉体の一部を欠損するレベルの怪我であってもそのアイテムを使えば、元に戻ると言われている。


 流石に、レイジたちアルドラゴのアイテムでもそのレベルの治療薬は存在しない。

 更に言えば、プラムの失語症は精神的な疾患であり、アルドラゴでも癒す事は出来なかったものだ。


 それを癒した。

 それだけでも信じられない効力なのに、元々は不老不死を与えるもので、レベルダウンした結果が今のものだ。


 そんなものを泣いた子を宥めるためだけにポンと与えた。


 一体、この女性……いや、アレがあるので男? そのどちらの要素もあるこの存在は何者なのか。


「………」


 喋られるようになったのだから、この桃をくれた本人に対して、感謝の念が生まれても良い筈だ。

 なのだが、どうにも素直に「ありがとう」と言いたくない気持ちがある。


 何せ、危うく意図せず不老不死になるところだったのだ。


「ふふ。ボクの事が気になっているのかい。

 いいだろう。自己紹介しようじゃないか。

 ボクはロゼ。本名じゃなくて通り名だけど、気に入っているからこれが今のボクの名だ。

 そして、ボクが何者か……。

 まあ言ってみれば、通りすがりの竜神……。と言っても、この世界の竜神じゃない。あくまで異世界の竜神ってところだね」


「りゅーじん?」


「む。ちびっ子にはまだ分からんか。まあ要は神様だよ」


「神様って偉い人?」


「むぅ。偉いはどうかは別として、普通の人からしたら凄いことは出来るな。この世界程度なら、一周するのに10分もかからん」


「凄い! 飛べるんだ!」


「……まぁ飛ぼうと思えば飛べるが、別に走ってもイケるぞ」


「そんな凄い人がなんでこんな所に居るの?」


「んー。その辺は話すと長いんだよなぁ。

 まあ、概ねの理由は、居場所がなくなっちまって、暇つぶしに異世界を放浪中~~ってところなんだけど……ん?」


 ふと、ロゼが何かに反応して動きを止めた。


「どしたの?」


「ちびっ子は、まだ仲間たちには遭遇したくないんだよね。だったら、しばらく消えておいておくれ」


 ロゼがパチンと指を鳴らすと、


「わ! わ―――」


 スーッと、プラムの身体がまるで空気に溶けるように消えていった。


 無論、本当に物理的に消えたわけではない。

 そして、肉体を透明にして視覚的に見えなくしたわけでもない。


 プラムの周囲の空間を切り裂き、別の次元へと一時的に隠したのだ。

 エヴォレリアと竜王国は次元を一枚隔てた隣同士の関係であるため、次元を一枚切り裂いたらプラムは元の世界に戻ってしまうのではと思うかもしれないが。

 今回ロゼが切り裂いたのは、次元の薄皮みたいなものである。

 次元が違うので、気配もしなく、生命反応探知なるものにも引っかかる事は無い。


 しばらくして、プラムを一時的に隠した理由たる一団が姿を現したのだった。


「……やぁ、いらっしゃい」


『! ロゼ……さん?』


 それは、一糸まとわぬ姿となったアルドラゴの女性クルーメンバーであった。








~~あとがき~~


 いずれ本編でも言及されると思いますが、ロゼの性別はどちらの要素もある両性であります。

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