第2話「デビュー」
旅の最初からグッタリだったわけだが、なんとかU県にたどり着いたシンドー。
さあ、どんな冒険が待ち受けているのか!と記憶を掘り起こせども特に印象に残っていることがない。
いや、あるにはあるのよ?でもあっという間に語り終わるようなことしかないのよ。翌日から主任がバンコク出張で3日不在、知り合い0でやることも特になかったためかなり寂しかった、とか。ほら、40字ちょいで終わった。
というわけで、少し時間が飛んで記念すべき初授業について書こうと思う。正直書きたくないけど。そもそも覚えていることもあまりないけど。
まず、私が働いていたのは国立大学の日本語学科。日本語を専門に勉強する学生たちを相手に、もちろん日本語と日本文化を教えるのが任務。22歳の新卒新社会人新人教師が国立大学の先生とは今更ながらに驚きだ。
大学だし、さそがし学生は多かったんでしょう?と思った方もいるかもしれないけど、そうでもない。田舎だし。大学全体の人数はわからないけど、この年の日本語学科の学生は4年合わせて50人居なかったんじゃないかな。1年生9人、2年生5人、3年生17人、4年生は絡みがなかったのでわからない。たしかこんな感じ。
私は3年生と1年生の授業を担当した。
私にとって教師デビューの授業は3年生の文法の授業。授業時間は2時間だったか3時間だったか。少なくとも日本の大学のように90分とか100分ではなかった。
前述の通り学生たちは17人。全員女の子。
ここまで書いて急激に筆が重くなった。というのも、『デビュー戦なんだからとにかく勢いで押し切るしかない』というのはわかるのだが、それにしたって今振り返ると当時の私の授業は「しょっぱかった」なと思ったのだ。
いざ授業が始まると声は小さい喋りは速い、学生たちは困った顔。それを見てますます焦るという悪循環。学生たちから「もう少しゆっくり話してください」と言われて慌てて喋り方に意識を向ける、そんなことをひたすら繰り返しただけの時間だった。授業の最後にはめちゃくちゃ謝ってたな。今思えばシンプルに準備不足。
そんなこんなで初授業を終えた私は講師室の自分の椅子に腰を下ろして1時間ほどグッタリしていた。
正確には学生のことを知ろうと授業後に学生たちと一緒に学食へ行き食事をしたのだが、授業で疲れすぎて学生と何を話したのか、いやそもそも会話が成り立ったのかすら思い出せない。
とにかく、講師室に戻って座ったらまったく動けなくなった。
教師というのは説明をしながら学生の顔を見て理解度を測り、更に次の説明に行くタイミングも考えながら授業を展開するのだから今思えば疲れて当然なのだが。
別段、酷い目にあったわけではないけどこれが私のデビュー戦のお話。いま思い出しても改善点山積み、それどころか良い点が一切なかった授業だった。当時の学生たちに本当に申し訳ない。
筆者が授業に対してどのような想いを抱いているのかは、またの機会に語りたいと思う。
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