エイルのFanとFestivalしようぜ
エイル
トマト準也 様とお題【穴】で短編やってみた
タイトル 穴を開けたい!!
人里離れた山奥で国民を守るために、腕を磨く者達がいる。特に彼らは、表向きは犯罪となるような暗殺作戦も行う機密組織であり、存在も公表されない。
「いいか!!今日は御歳107歳の達人に来てもらった!!傲ることなく技術を吸収しろ!!分かったな?」
「「「はっ!!」」」
「それでは達人に挨拶をいただく!!拝聴するように!!」
あの世に99%の住人に見えるお婆ちゃんが、その達人なのだろう。
最高機密なので、名前すら秘密であり本名を呼ぶことはない。
「・・・・・・・・・あたいかのぉ?最近は耳が聞こえんくていかんのぉ。でなんじゃ?」
「挨拶をお願いします!!」耳元で叫ぶリーダーに、首をかしげる達人「挨拶を!!お願いします!!」
「愛してる?お前のような尻が青いクソバカな奴などお断りじゃ」
青筋を浮かべながらも、更に叫ぶリーダーに隊員は不安が増していく。
「あ・い・さ・つ・です!!!!!」
「なんじゃ挨拶かえ?ハッキリ喋らんのと聞こえんぞい。お主らが国を防衛すると聞いての、ちと手伝ってやろうと思ったやつだったかのぉ?それとも金払いが良い外国人やつかのぉ?外人にはボケたふりしとかんとのぉ。おぉそうじゃあれじゃったな。あれはーあれじゃあれ、あれはー
隊員達の心はこの人に怪我なく帰ってもらおうと1つになった。
「最初の、防衛です!!何を教えてくれるのですか!!」
「それじゃたか。あれがあるじゃろ。あれ持って来い」
あれじゃ分からないから!!お婆ちゃんあるあるだけど困る。隊員達は今まで一番の一体感を、得ている。
「あれってどれですか!!」
「はぁぁ?聞こえん!!早うもってこい。ちゃんちゃんこくらい持ってるじゃろ」
ピンと来たのか走り去ると、防弾ベストを持ってくるリーダー。ちゃんちゃんこで分かったリーダーはお婆ちゃん子なのかもしれない。
隊員達はちゃんちゃんこではないとツッコミたい気持ちをグッと堪える。
お婆ちゃんは、よろよろしながらも防弾ベスト受け取る。
なんとか震えそうな片手で防弾ベストの襟を持って持ち上げるとおもむろに、貫手を防弾ベストにするお婆ちゃん。
当然のように防弾ベストが揺れるかも怪しいというか、全く揺れず微動だにしない。
隊員達は時間の無駄と一瞬思うが、なんとお婆ちゃんの貫手が防弾ベストを貫通しており、思考停止する。
何しろこの防弾ベストは最高性能で、アサルトライフルの弾丸も貫通させないのだ。人間の貫手で貫通とかありえない。
元より彼らはエリート中のエリートであり、人外レベルな鍛え方をしている。それでも絶対に不可能なのだ。
「「「「・・・」」」」
静寂が支配する中でお婆ちゃんが、おっちらへっちら防弾ベストから手を抜こうとしている。
我が目で見てもこの光景の意味が分からない。
「抜けたぞい。ほれやってみろ」
お婆ちゃん改め超達人はむちゃ振りする。
防弾ベストを返してもらい、貫手を構えたリーダーに超達人なお婆ちゃんが声をかける。
「そんな柔らかいのじゃ、鍛錬にもならんのぉ。こうするかの」
お婆ちゃんな、超達人は何やら押し車から取り出す。
「
人差し指で、厚さ6ミリのステンレス鋼板にポン、ポン、と穴をそれぞれ違う指で1つずつ、合計5つの穴を超達人お婆ちゃんは開けた。
「ほれ、やってみろ」
ステンレス鋼板に穴開けるのは人間技ではない。6ミリのはともなれば、業務用の加工機でもレーザーカッターとかで切削加工しないと硬すぎるのでないだろうか?
「なにか・・・コツはありますか!!!!」
ステンレス鋼板を渡されたリーダーは超達人お婆ちゃんに質問する。
隊員達はコツとかそういう問題ではないと心が1つになった。連帯感はどんどん向上している。
「そんなもん決まっとる。頭悪いのぉ、力と筋肉そして根性じゃのぉ、ほぉほぉほぉ」
絶望的な表情を浮かべながら、貫手をステンレス鋼板に打ち込むリーダー!!まさに漢だ。
「せい!!痛って〜!!」
人外な鍛え方をしてるリーダーの全力貫手もステンレス鋼板は何事も無かったように弾き返した。見るからに突き指をしている。
「軟弱じゃのぉ。鍛え方がなっとらんのぉ。そんなんじゃ師範代にもなれんぞい」
隊員達は思った。なんでこんな超人がいる国なのに先の大戦で負けたのか理解できないと。あと突き指したくない。
「あはは、達人は本気を出すとどのくらいなのですか??」
リーダーが明らかに興味本位で質問している。
「聞こえん!!早う鍛えんか」
どんだけ筋肉と根性があっても年齢には勝てないらしい。
「本気を見せて下さい!!」
「ほんき○ん?お前が飲むにはビールはまだまだ20年早いのぉ」
子供扱いどころか、0歳な赤ちゃんと言われて青筋を浮かべるリーダーだが、忍耐力もエリートなためしっかりとあるり耐える。
「全力の本気がみたいです!!!!」
「気の抜けたほんきり○?ビールに対する冒涜かえ?あの旨さが分からんとは、おこちゃまじゃのぉ」
隊員達は心を1つにした。リーダーじゃなくて良かった。こいつの相手はしたくない。歴史上最高に一心同体と思えるほど一体感が増している。
「マジな!!!本気を!!!!お願いします!!」
「そうかい。そりゃ目標はいるのぉ。ならあの的を殺るかのぉ」
超達人な死にかけ107歳お婆ちゃんは800メートルほど離れた射撃訓練の的をゆっくり震えそうな指先で差す。
「その弾をくれんか?」
リーダーはアサルトライフルの弾丸を超達人なお婆ちゃんに手渡すが、持ちそこねて落としたので、拾ってもう一度手渡して、握らせる事に成功する。
「よーく見ておけよ。これくらいは人間出来るからのぉ。ほぉほぉほぉ」
お婆ちゃんはよたよた立ち上がると、アサルトライフルの弾丸を振り被り投げる。手元からバーンとぶつかったような音がなる。それは音速の壁を超えたときに鳴るソニックブームだ。
お婆ちゃんの素手で軽く音速を上回る加速を得た弾丸は、射撃訓練の的の中心ど真ん中を貫通し穴を開ける。アサルトライフルで発射するよりも威力がありそうだ。
「ほいとな」
気の抜ける掛け声に皆の目線がお婆ちゃんに集まると、お婆ちゃんは大地を蹴り50メートルほど真上に飛び上がる。
既に国家からエリートと認定された彼ら自身、理解不能な自体にただ見るしか出来ない。
超達人のお婆ちゃんは空中で的に頭を向けるように回転すると、「どっこいしょ」そんな掛け声で、空気を蹴って的に飛んでいく。
慣性の法則的にそりゃ空気も蹴れなくはないし、空力で飛行機は飛ぶからそこに物質はある。しかしながら気体は蹴るものではない。
大気を蹴った勢いで的に直撃する瞬間に、お婆ちゃんは拳を放つと、的のあった所の大地は抉れて直径10メートルくらいの穴というかクレーターが出現する。
もはや大砲よりも強くヤバ目のミサイルくらいの攻撃力だ。
これにはリーダーも隊員も開いた口が塞がらない。
お婆ちゃんはよろけながら、クレーターを登り帰ってきた。その間あまりの非常識さに動けないでいる。
「こんなもんじゃ。ほれその板に穴を開けることから始めんかい。70年も鍛錬すれば誰でも出来るからのぉ。やるだけじゃな」
この言葉に再起動した隊員とリーダーは、ステンレス鋼板に抜手をしては突き指をしまくるのだった。
「指が!」「こんなこと不可能だ!!」「ステンレス鋼板硬すぎるって」「もうお嫁にいけない手になっちゃう」
それから20年後に、お婆ちゃんに鍛え上げられた隊員達が世界最強の大国の軍隊が持つ、戦車の複合装甲を拳で貫通するデモンストレーションをして震え上がらせた。
更に鍛練を重ねたが、もう死んでるようにしか見えない127歳のお婆ちゃんの凄まじい蹴りに、恐怖で慄きパニックに大統領を陥らせるは別の話である。
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あとがき
本作は トマト準也 様
https://kakuyomu.jp/users/tomato23jun
作品は 巨大化したアリの巣穴を攻略せよ!
https://kakuyomu.jp/works/16817139555197595940
作家として交流する中でトマト準也様の練習するお題としてエイルが提案したので、お題を出したエイル側としてもやってみました。
本文で約3100文字です。ジャンルは現代ファンタジーかな?少なくとも現代ドラマじゃないなぁ。カクヨムにはありませんが、ギャグコメディだと思います。
ここからはエイルがこれを作る時に考えた事とかちょっと残しておきますね。
トマト準也様の作風としては、話し言葉で軽い地の文とコント的なお笑いなのかな?と思います。
エイルの作風的に軽い地の文は出来なくは無いですが、一人称視点にすると、ツッコミを入れてしまうのがエイルです。
そのためツッコミが苦手そうなので、分かりやすいボケとツッコミよりは、ボケ中心にツッコミは読者に任せる感じにしてみました。
苦手な事をするよりは、長所を伸ばすべきとエイルは思います。もちろん普通なことをツッコミを入れて笑いにすることもできると思います。
参考になると良いなぁ。さて最後に条件を紹介します。
1、新作で完結すること。
2、1文字以上、1万文字以下
3、ジャンルは自由
4、期間は2022年6月8日まで
5、お題は【穴】です。トンネルでも洞窟でもマンホールでもブラックホールでも心の穴でも5円玉でもなんでもありです。
こんな感じですね。うん、【穴】っていろいろありますね。まぁエイルのはいつものようにお題は守ってるけど脇役、舞台装置的な使い方ですね。むしろ最後まで登場したので珍し感じでしょうか?\(^o^)/
エイルも、もちろんネタ出しも含めて、お題を決めてから考えて書き下ろしました。
素人ファンタジー作家なエイルですが、少しでも楽しでいただけましたでしょうか?評価は、読者様にお任せましてあとがきを締めさせていただきます。
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