そんなに甘くない。ボクの。

1. 上司VS部下

 ちょっと待て。

 そのプライドは保とうぜ。と言いたくなった。

「一度だけでいい…」

「一度も何もないかと思います」

 机に顔をつけて土下座のように、頼まれてもお応え出来ません。

「だって、コレ。メンズなんだもんっ」

 可愛く言ったって、見た目バ…、老いたヒトに興味ないので。何なら、もっと肌がピチピチしている方がいいです。申し訳ございませんが…。

 首を横に振る俺に、不貞腐れて更に机にのめり込んで皺を寄せておばあちゃんになった上司が、

「じゃあ、いいや…」

「ちょ…」

 っと待ってください。と俺の手が言ってしまった。

「ヤダ。大胆だねぇ」

「すみません。そういう気ないんで。微塵もないんで。本当、すみません」

 我ながら、凄い言い方したなと少し反省した。仮にも上司…。

「大丈夫。こちらもそういう気ないんで。微塵もないんで。本当、すみません」

 さてと。と上司はPCに向かい、作業を始めた。

「だから、あげる」

「あ。はい…」

 結局、いただいてしまった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る