第26話
昼休み。
さて、楽しみにしてた、から揚げタイムだ!
「コウ、一緒に食おうぜ」
「あぁ、タクはパン買って来たのか」
「あー購買のパンもうまいけど、混むからなぁ出来ればあんまし行きたくない」
そうなのだ、うちの高校の購買パンはかなり美味しい。
俺も弁当で足りなかった時とかに、買ったりしてるので旨さは間違いない。
しかも、学生が無理なく買える様にかなり良心的な値段設定になってる。
だから、必然的に人が多く集まる。
出来ればあんまり近寄りたくは無いな。
特に大人しい性格の人とかは…
「春川~パン買ってきて」
はぁ、やっぱりダメだったか…
薄々クラスの雰囲気が良くなっても立花は変わらない気はしてたけど。
「う、うんじゃあ…」
仕方ない。覚悟を決めて間に入るか。
「あのさ、立花。そう言うのやめね?あんまり気分良くないぞ」
俺の発言でクラスがざわつくのがわかる。
少し早いと思うが、ここから俺が出来る精一杯をやろう。
「ん?別にコウには……春川、やっぱ今日は良いわ」
「え?良いの?」
はぁぁぁぁ~何とかなったかもしれない。
最初の返事こそ少しトゲがあったが何とか止められそうだ。
「後コウさ、放課後時間ある?話あんだけど」
いや、終わったかもしれない…
真剣な顔で俺の方を見ている立花。
「あ?あぁ…別に良いけど…」
「そっか、じゃあ放課後自習室で」
「わかった」
呼び出し…かな?俺の青春は終わったかもしれない。
春川がこちらを不安げに見ている。
安心してくれ春川、次のターゲットが俺になったとしても、恨みはしない。
「コウ…大丈夫か?呼び出されてたみたいだけど?」
「あぁ、なるようにしかならんだろ」
「そう…だな。まぁ何があっても俺はお前の味方だから安心して逝ってこい」
「なんかいってこいの字が違うくないか」
タク…お前と仲直り出来てて良かった。
お前が居なかったら本当にフルシカトの可能性もあっただろうし。
一人でも喋ってくれる友達が居れば乗り越えられる…はず!
少し寂しい青春になるかもしれないけど…
弁当のから揚げを食べ始める俺。
あれ?こんなに味気無かったかな…
楽しみだったのに、から揚げは何だかいつもより心踊らなかった。
はぁ、俺の青春……
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