第9話
「こんちゃーっす」
ジム到着だ。
「おう、お疲れコウ」
話し掛けてきたのは
同じジムでトレーニングしてる良い兄貴分の
人だ。
「お疲れ様です涼さん」
「なんだコウ、良いことでもあったのかよ元気じゃねーの」
「あれ?わかります?新しく友達出来たんで
ちょっと嬉しかったんですよね」
「へーコウに友達ねぇ、変な奴だろうな」
「なんでですか!普通ですよ普通!」
何故俺の友達が変な奴だと決めつけるんだ
この人は。
「だってコウって変な奴じゃん?そりゃ友達も変な奴なんじゃねーのって思っても仕方ないだろ」
涼さんのディスがひどい。
俺なんかしたっけ…
まあ確かにいじめっ子ギャルと友達になったから変わってると言えば変わってるか?
「そんな事ないでしょ。至って普通ですよ
涼さんは高校生の時はどんな感じだったんですか?」
「俺の高校時代?そりゃまあ女の子にはモテるし学校でも人気者だったぜ」
「そうなんですか!やっぱ涼さんは昔から
かっこよくて人気もあったんですね!」
「そりゃそうだろー今の俺を見たら分かるだろ」
その時見慣れた顔が入り口から入ってくる
「くだらねえ嘘ついてんじゃねえぞ鎌田」
「げっ会長!?」
「お疲れ様です会長!」
この人はこのジムの会長で
「涼さん今の話嘘なんですか?」
「いやーそれは…」
「そうだぞコウ、こいつの高校時代なんて
喧嘩ばっかりでそりゃ滅茶苦茶よ、手がつけられないってんで高校の先生がうちのジムに
預けに来たんだ」
「止めてくださいよ会長…」
「なんだよ、本当の事じゃねえか。それに
顔が怖すぎて女の子なんて一人も寄り付かなかっただろーが」
「で、でも人気者ではあったでしょう」
「人気者ってありゃお前ほとんど子分みたいなもんだろ。そりゃちやほやするさ」
「ぐっ…そうかもしれませんけど…」
「なんだ、涼さんもほとんどボッチだったんじゃないですか。せっかく友達と仲良くなる
方法を聞こうと思ったのに」
「なんだコウお前友達出来たのか。そりゃー
随分変わった奴だな」
「なんで会長まで涼さんと同じ事を言うんですか!普通の友達ですよ!」
なんだこのジムでの俺の印象は変な奴で確定してるのか?
「もう良いですよ!自分で考えます」
「まあそうカッカすんなってとりあえず着替えてこい、今日は俺が相手してやるよ。良いですよね会長」
「おう鎌田足元掬われんじゃねえぞ、コウは面倒臭い上に十分強いからな」
「なんですか変な奴だの面倒臭いだの俺の印象どうなってるんですか」
「そりゃお前小学生がいきなりジムに来て
僕を強くしてくださいって半泣きで叫び始めたら誰だって変な奴だと思うだろ」
くそ、俺の小学生時代の黒歴史だ。
いじめっ子を打倒したくて取り敢えず目についたジムに入って叫んだのがその時だ。
あの時は必死だったし不安もあって殆ど泣いてたな。
会長が話を聞いてくれて親にも 、いじめの事情を伏せてジムに通えるように説得してくれた。
「あの時の事は忘れて下さい!準備してきます!」
「はっはっは!あんな事忘れられるわけねーだろ一生言い続けてやるからな!」
「うるさいハゲ親父!」
後ろからみんなの笑い声が聞こえてくる。
何だかんだ言ってここは第二の家みたいに
思ってる。
出来れば会長にも何か恩返しがしたいと思ってるけど、あの爺さんは頑固だから中々恩返し出来ないでいる。
夢はいつかプロの格闘家になって試合の勝利をプレゼントしたいなんて思ってる。
あまりにもロマンチストで恥ずかしいけども…
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