昼は陰キャな高校生の俺が、実は夜の街で大人気な街を守る良いヤクザな件~夜廻り中に拾った家出少女は、学園一の美少女JKでした~

【世界一】超巨乳美少女JK郷矢愛花24歳

第1章 街を守る良いヤクザ

第1話 普通に高校生活を送る陰キャな俺

「うわー、朝っぱらからキモい奴の顔見ちゃったー」


 とある日の昼休み、騒がしい教室の中で一際大きく、そして耳障りな女の声が聞こえた。


 その言葉が俺に向けられていることに、もちろんすぐに気付いた。


「ばーか。お前盛大に遅刻してっからもう昼だっての。とはいえ確かに、桜木・・はキモいよな」


 髪の毛を茶色に染め、耳にはピアスをつけた軽薄そうな容姿の男子生徒が、大きな声で同意した。

 すると、彼らの周囲にいた取り巻きたちが示し合わせたように笑った。

 俺は周囲の嘲るような眼差しを向けられながら、中心にいる二人を窺う。


 大声で俺をいじり、笑いを取っていた男子生徒と女子生徒は、このクラスの中心人物だ。


 二人とも内面に反比例するように顔が良く口も上手く、そして何より気に入った相手に対しては気さくで親切なため、多少素行が悪いことを差し引いても、クラスの連中から慕われていた。


 反面、俺はというと寝癖がつきっぱなしのボサボサ頭と長い前髪で顔の半分も分からないような不気味な風貌をしており、その上無口で無愛想。

 クラスメイトと楽しくおしゃべりなんてしたことは一度としてなく、当然のごとくクラスメイトから気持ち悪がられていた。


 というわけで、この程度の暴言は日常茶飯事だった。


「は? 何見てんだよ?」


 男子生徒が俺を睨みつける。

 俺はいちいち相手にするのも面倒なので、無視をする。


「また無視かよ」


「相変わらずの無反応。ホント桜木うぜー」


 口では悪態を吐くものの、手を出してきたりはしない。

 実際に手を出して、それが露見すれば自分たちの立場が不利になることが分かっているのだろう。

 その程度の悪知恵は働くようで、それは俺にとって良いことだった。


 俺から興味を無くしたのか、その後中心人物二人は取り巻きと一緒に楽しそうに、馬鹿みたいに大きな声で下らない雑談をしながら昼ご飯を食べ始めた。

 彼らとは正反対に、一人黙々と弁当を食べ終えた俺は、立ち上がって教室を出る。

 1階にある購買前の自販機で、飲み物を買うためだ。


 俺は階段を降り、自販機近くまで歩いてきた。

 昼休みは既に十数分経過していたため、昼食を買い求める生徒たちの姿も随分と減り、自販機前には女子生徒が一人いるのみだった。

 俺はその女子生徒の後ろに並び、自販機に並べられた商品を見る。

 この自販機で買えるのは紙パックのジュースのみだが、品切れは一つもなかった。


 そんなことを考えていると、突然身体に衝撃を受けた。

 どうやら、ジュースを買い終えた女子生徒が振り向きざま、俺の存在に気付かずにぶつかってしまったらしい。


「あ、すみません」


「こちらこそ」


 ぶつかった女子生徒が頭を下げて謝罪をしてきたため、俺も「こちらこそ」と小声で答えてから、軽く頭を下げた。


 それから顔を上げて――少し、驚いた。

 

 ぶつかった女子生徒が、俺の顔を覗き込んでいたからだ。

 何を考えてるんだこいつは、そう思って彼女の顔を改めてよく見た。

 目の前の女子生徒は、俺の一つ下の2年生だ。


 上履きのラインの色で学年分けをされているのですぐに分かるのだが、今回の相手に限って言えばそもそも知っている相手だった。


 綺麗な長い黒髪に、触れることすら躊躇わせるほど繊細な白い肌。

 思わず目を奪われる、紅い唇。

 彼女の名前は、有栖歌音(ありすかのん)。


 アイドルみたいな可愛らしい名前に、アイドル顔負けのルックスを誇る、俺のような友達のいない陰キャでも知っている学園の有名人だ。


 古臭い言い方をすれば、有栖は『学園のマドンナ』と呼ばれる存在だ。

 彼女の登下校をする姿を拝むためだけに、朝と放課後に教室の窓から顔を出す男子がいたりする。

「どこそこの組の誰それが有栖に告白をして、フラれた」という情報は、黙っていても毎日のように耳にした。


 そんな高嶺の花の有栖が至近距離で嫌われ者の陰キャである俺の顔を覗き込んでいる状況は、端から見れば不思議だろうし、俺にとっても都合が悪い。

 俺は学園内では、決して目立ちたくないのだ。


「……何か?」


 こちらをじっと見る有栖に向かって、俺は静かに問いかけた。

 彼女はまっすぐに俺を見てから、クスリと微笑を浮かべてから答えた。


「前髪、上げた方が良いですよ」


 それから彼女は歩み始め、俺の横を通り過ぎて行った。

 彼女の背をしばし眺めてから、溜め息を吐く。

 今の言葉には、『前髪長くて前が見えてないんじゃね?』という煽りが込められていたのだろうと察した。


 有栖の方からぶつかってきたくせに、と心中で不満を吐いてから、俺は小銭を取り出し自販機に入れた。

 イチゴ牛乳を購入し、手に取ってから飲み口にストローを差し込んだ。


 俺には事情があり、学園では極力目立ちたくない。

 例えそのせいで、クラスメイトからは陰キャと嘲られ、後輩女子から煽られる普通未満の高校生活を送ることになってもだ。


 もちろん、この生活はストレスが溜まる。

 俺はストローに口をつけ、イチゴ牛乳を飲む。


 分かりやすく作りものっぽいイチゴの風味と、適度よりもやや過剰な甘さが口の中に広がる。

 昼休みのイチゴ牛乳を飲むこのわずかな時間が、唯一心安らぐのだった。



 退屈で、やや苦痛な高校生活の一日が終わり――放課後。

 繁華街のとあるビル内にある事務所に、俺は踏み入っていた。


 扉を開けるとそこには、身体の一部(脱いだところを見れば分かるが本当は大部分)にお絵描きをした厳つい人相の男たちがいた。


 彼らは俺の顔を見るや全員が立ち上がり、頭を下げた。




「「「「お疲れ様です、若(わか)!!!」」」」


 バカでかい声に顔を顰めつつ、俺は「おう、おつかれさん」と苦笑を浮かべて応える。


 ここは我が県を縄張りとする指定暴力団【櫻木會さくらぎかい】の組事務所。


 ただの高校生に過ぎない俺が、当然のようにヤクザの組事務所に立ち入り、そこの構成員たちから頭を下げられている理由。

 そして、学園の中で目立ちたくない理由は――奇しくも同じだった。



 俺、桜木仁(さくらぎじん)が櫻木會の現組長の実子であること。



 つまり目立たない陰キャな高校生として生活を送っているのは、この事実が周知されて面倒が起こらないようにするための、カモフラージュなのだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき


ここまで読んでくれてありがとっ、とっても嬉しいのです(*ノωノ)

この物語は当然フィクションです(∀`*ゞ)エヘヘ

実在の人物、団体等とはもちろん関係ありません(´∀`*)ウフフ

現実の暴力団やその関係者、反社会的勢力の人たちと愛花は一切関係がないので、取材等は全然していません\( 'ω')/


そのことを前提に、楽しんでもらえると嬉しいな(*ノωノ)

「面白かった」「これからが楽しみ」って思ってくれた人は、良かったら☆☆☆を★★★にしてくれると、とっても嬉しいです(∀`*ゞ)エヘヘ

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