第119話 パグと会議と言う名の簡単な人物紹介4
「え〜、次はアレス王国の防衛についてだな。大きく分けてヒダ、エマ、辺境になるが───」
「辺境ってヒダとエマに比べたらとっても小さいじゃん」
レンの言葉にヘレナがツッコミを入れる。
「だけど、コボルトが多いだろ? いつまでもヘレナが見る訳にはいかないよなぁ」
「でも、コボルトって賃金いらずだから、凄い収益なのよねぇ」
「ヘレナも悪よのう」
「まぁね〜!」
「「あははははは」」
みんなはシラ〜っとしてるが、リリスは温かい目で見ている。
「冗談はさておいて、辺境の村も街も近隣の村も誰かに任せた方が良いだろう」
「そうねぇ。街と近隣の村は誰かに任せても良いけどねぇ。辺境の村はほぼコボルトしかいないので特殊だから、難しいんじゃない? 大体既にコボルトが増えすぎて、村の規模じゃないけどね」
「ん〜、村は後にして、辺境の街はネイサンに任せよう。いいかい、ネイサン」
「はい。誠心誠意務めさせていただきます」
ネイサンはヒダ王国大都市の衛兵隊隊長だった男だ。
「それで、村なんだが………、いっその事、大都市の暫定措置でやったコボルトに任せるのも手だな」
「へへ、シャチョーサン、イイコイルヨー」
「ヘレナはキャラがブレブレだなぁ。どんな奴?」
「ちっちゃくてブサ可愛いモフモフなんだけど、今、私が不在の村を仕切ってる子」
「ちょっと召喚してみよう。召喚!」
現れたのは、パグのコボルト。
パグの毛色はフォーン。短毛のダブルコート。垂れ耳、巻き尾、短鼻でブサ可愛い小型のコボルトだ。
「わん?」(ここ何処?ワン)
「おお、35匹の中の一匹じゃないか。戦闘は苦手そうだから呼ばなかったけど、元気かい?」
「わんわん♪」(マスター♪ワン)
「そう、マスターです。お前の愛称はパグに決定! パグ、辺境の村はお前に任せる」
「わん! わんわんわんわん」(パグ! 名付けに感謝しますワン。任せてワン)
「辺境村はこのままの方向で、農場と牧場を広げて発展させてくれ、それからコボルトの育成の場として、若い実力者をどんどん育成してくれ」
「わんわん」(分かった。頑張るワン)
「イアン、村に商会の子は何人か残っているんだろ? その子達にパグのフォローをお願いするよ。それからジュニア達に読み書きを教える先生も派遣してくれ」
「はい。あの村は商会でも大人気なので、人はいますし、教育者も行きたい人は多いでしょう。任せてください」
イアンはレンが初めて辺境の村に向かった時乗り合い馬車で一緒だった商人だ。それ以来の付き合いで、アレスの商売を一手に任せている。その為、いまや押しも押されもせぬ大商会に成長した。
「後はヒダとエマかぁ」
レンはチラッとランドルフを見るが、
「ああ、駄目駄目です。お断りします。私ももう歳なので、相談には乗りますが魔物研究だけやらせてください」
ランドルフはヘレナの祖父で元Aランク冒険者でテイマーズギルドのギルドマスターだった。レッサーワイバーンをテイムした功績でヒダ王国の伯爵に叙爵されていたが、魔物研究が好き過ぎて、ヘレナを置いてフィールドワーク三昧だった。愛称のプロフェッサーと呼ばれて冒険者達からは慕われている。
「Aランク冒険者は我儘だなぁ」
と言いながらジュリアを見るレン。
「私も駄目よぉ。歳で引退したんだからぁ。相談には乗るけど余生をゆっくり過ごさせてよね。ねぇ、ツェンジュニアちゃん」
「バフバフ」(そうだワン)
「バフバフ」(お腹空いたワン)
クンクン
クンクン
クンクン
ツェンの子供、5匹がジュリアの周りを匂いを嗅いでウロウロしている。
ジュリアは辺境街の元錬金術ギルドのギルドマスターでアンナと仲良しだ。そして、チベタンマスティフのコボルト・ツェンの錬金術の師匠だ。
「ん〜、ヒダは取り敢えず、国と兼務でヘレナに任せるよ。誰か適当な人をヘレナの代理で置いても良いよ」
「はぁ、そうなったかぁ。分かった。誰かに任せる」
「それから、エマは………、ロジーナ、エマはどうなってるんだっけ?」
「ああ、モフモフっ娘の父親である侯爵が割と良い感じだったから、今は任せてるよ」
「じゃあ、それで継続でいいや」
「分かった。伝えておくよ。そのうち挨拶に来ると思うよ」
「そうだな。一度ぐらいは会っとくか」
「一度じゃ済まないでしょ」
「え〜、ヘレナに任せるよ」
「ええええ! それも私ぃ!」
「じゃあ、リリス。頼んだ」
「仕方ないですねぇ。旦那様のために貴族関係は抑えておきますわ」
「それで、最後に俺達が遠征している間の国の防衛はロバートに任せた! もうこの第119話も残り少ないから反論は許さない!」
「第119話が何の事か知らないけど良いぞ。暴れてこい!」
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