第100話 王都

 ヒダ王国とエマ王国の戦いは激戦を極める。元々互角の実力で長年に渡って覇を争っていた国同士。いつも一進一退の戦いを繰り返していたが今回は違った。


 エマ王国の本気度が違う。千載一遇のこのチャンスをものにする為、全勢力を持って進軍して来たのだ。


 武力に長けたヒダ王国国王軍が駆け付けた時には既に村や街中が幾つか制圧されていて、国王の武威があるとは言え、国王軍は圧倒される。


 一方、南の戦場でも、練度に勝るロバート率いるアレス軍が終始優位に戦闘を繰り広げていた。





 そんな中でレン達はヒダ王国王都に到着していた。


 ワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルトノインは王都に近付く前に送還し、レン達は騎竜に乗った6人の冒険者として、王都の門のを潜る。


「いやぁ、冒険者達がみんな戦場に行っちまってな。あんた達が来てくれると助かるよ」


 偽造された冒険者証はCランク。そこそこのランクだ。Cランクの冒険者が6人も来てくれたと言う事で門番は喜び門を通す。


「案外簡単に通れたな」

 騎竜の背に乗るフェルダーがレンに話し掛ける。


「ああ、後は制圧するのみ。作戦通り二手に分かれよう。俺達は王城を制圧する。フェルダーとロジーナは冒険者ギルドを制圧してくれ。派手に頼むよ」


「分かった。嘘つきのハゲのギルマスは捕縛して王城に連れて行くわ」


 ロジーナが答える。


「召喚!」


 レンはドーベルマンのコボルト・ドライを筆頭に千匹のコボルトを召喚した。


「ガウガウ」(マスター仰せのままにワン)


「ドライ、フェルダーとともに冒険者ギルドを制圧してこい!」


「ガウガウ」(承知だワン)


 王城内はパニックになっていた。


「大人しくしろ! 抵抗する者は容赦しないが、抵抗しない者には攻撃しない。抵抗しない者は家に閉じこもり、街に出るな!」


 大声でフェルダーが叫ぶ。


「じゃ、行ってくるわ」

 ロジーナがレンに手を振り冒険者ギルドを目指す。


「行くぞ」


 ロジーナとフェルダーに手を振り、レンとエリーとダリア、ゲイルは騎竜に乗ったまま、パニックになっている人々の隙間を縫って王城を目指す。


 途中で冒険者ギルドに向かう衛兵立ち止まるとすれ違うが、無視して王城に着いたレン達は、者を目掛けて騎竜のまま走る。


エリーが弓で門番を射る。ダリアは杖を振り払い火球が門を撃ち抜いた。


轟音がなり崩れ落ちる門を潜ると、レンはコボルト達を召喚した。


「召喚!」


ワイマラナーのアハト。

ボルゾイのイン。

ゴールデンレトリーバーのツヴァイ。

フラットコーテッドレトリバーのフィア。

シベリアンハスキーのフンフ。


以上5匹のコボルトを筆頭に千匹のコボルトが門の中に召喚された。


「ガフガフ」(マスターやるぜワン)

「ウォン」(任せてワン)

「ワンワン」(行くぞワン)

「ワォン」(燃やすワン)

「バウバウ」(マスター久しぶりワン)


コボルト達は城内を駆け回り、立ち向かって来る衛兵や騎士達を蹂躙していく。


「城は貰ったああああ! 大人しく明け渡せええええ! 抵抗する者は容赦しない」


レンの叫び声が城内に響いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る