第5話 疑いの心

自我漏洩感とでもいうのか

漠たる不安が常にある

今なら世界中の 

誰にでも負けることができる

そんな気がするのだ


己の脆弱さを認識していることが大事だと知ってはいるが

まだ認識が足りないということか

誰かからの侵入に常に怯える

わたしから搾取することは 

何にもまして容易だろう


自分はか細く 不確実で 不確定で

いつもぐらぐら揺れている

己に確信を持ち

ぶっきらぼうに 堂々と

生き残ることに貪欲な

搾取的侵入を意に介さない

顔も知らない 彼らたちが

心の底から怖いのだ


今日もわたしは 内心半べそをかいて

背を丸めて ひっそり生息する


彼らはとても強いけど

己を疑わぬその確信を

わたしは嫌悪する


疑うことは幸福を遠ざけるのかもしれないが

それでも疑うことは大事だと思っている

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