誰かぁ・・助けてぇ

いつの頃だったか記憶がないがTVかラジオで聞いた話をここに書き残しておく。



険しい崖道を歩き行く男がいた

緊張し強張った表情をする男の額は汗が滲んでいる

昨夜の雨が岩肌を濡らしている


行く道を岩が覆いかぶさる難所だ

この難所を無事に抜けさえすれぱ先は平坦な道だと過った


一瞬の事だった。


気づいたときは崖の途中で木に引っかかっていた

身体のあちこちに痛みがある

周囲を見回し現実を知った

岩棚に助けられた男は崖道から落ちたのだと知った

そっか、あの時、踏み込んだ一歩が滑ってしまったのか回想した


眼下を見遣った。

手指は岩の裂け目を掴んでいる。

正気に戻った男は足を踏み外し滑り落ちてしまったと理解した


気を取り直し幾度も助けを呼ぶが・・

山奥のがけ中半では誰の耳に声は届かず応答がない

・・男は更に大声で助けを乞うた


疲れ果て・・か細い声で助けを乞うていた


助けを乞う男の声が神様に届いた

神様は優しいお声で男に囁いた


汝は神を信じるか

神の存在を信じるか

男は答えた

はい信じております

ならば、わたしは汝を助けることができる


その枝を掴む手を放して私の胸の中へ飛び込むがよい

されば私はお前を助けることが出来る

私を信じるがよい

枝を掴む手を放してわたしの胸に飛び込んできなさい


信心深い男は男は考える・・・

考えて考え抜いた

勇気を奮い大声で叫んだ


誰かぁ・・誰かぁ~助けてぇ~・・!

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