15.二重人格

これは作り話。


「たすけてください!」

突然私の研究室に息を切らして駆け込んできたのは、二重人格の男だった。

陰気で人見知りな主人格と、凶悪で無慈悲な副人格を持っているのだと朗々と語る。

その方面の専門家として有名な私を当てにしてやって来たのだそうだ。

「どうか出てきていないうちに、私のもう一方の人格を消してください!」

そう懇願する。その必死な様子に同情した私は快く薬を作ってやった。

「どうだろうか、もう一方の人格は消えたかい?」

「はい、どうやら人格は私だけのようです」

と言うので安心した。

「ありがとうございます! これで自由に生きられます!」

笑顔でナイフを振りかぶり、男は私を殺した。

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