8.隣人女性

昔住んでいたアパートの隣人が、若くて美人な女性だった。

引っ越した当初はお近づきに、なんて思っていたが残念ながら左手の薬指には指輪。

毎日真っ昼間に若い男女の盛る声と物音がその隣部屋から響いてきて、夜勤の多かった俺は睡眠を妨害されて参ってしまった。

ある晩いつも以上に音を立てているから我慢ならなくなって苦情を言いに行ったんだ。すると部屋から出てきたおじさんは心底すまなそうな顔をして言った。

「どうも、ご迷惑おかけしてすみません。これから静かになりますんで」

それからすっかり静かになって、俺は熟睡できるようになったよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る